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〜 大きな操車場のあった駅『総武本線新小岩駅』 〜

交通システム工学科1年

1. 総武本線(千葉以西)の概要

 総武本線とは、東京駅を起点に船橋、千葉、佐倉、八日市場を通り、銚子までの120.5kmを結ぶ路線だ。この路線は千葉駅を境に東側と西側で路線の雰囲気が変わる。今回は西側についてまとめる。
 総武本線の東京〜千葉間と御茶ノ水〜錦糸町間は千葉県と東京都を結ぶ主要な通勤路線として利用されている。当初は御茶ノ水駅を起点としていたが、1972年7月15日に東京〜錦糸町間が開業したときに起点を東京駅に移し、御茶ノ水〜錦糸町間は支線となった。その他にも、貨物専用路線として小岩〜越中島貨物、小岩〜金町を結ぶ路線もある。種別は各駅停車、快速、通勤快速、特急がある。快速は成田空港へ向かう電車のみ「快速エアポート成田」として走っているが、停車駅は他の快速と変わらない。特急は成田空港発着の「成田エクスプレス」、銚子方面へ向かう「しおさい」、新宿発着の「新宿さざなみ」、「新宿わかしお」などがある。各駅停車は10両、快速電車は4号車と5号車に2階建てのグリーン車を連結した11両または15両で運転されている。過去には成田空港へ向かう停車駅が通勤快速並みの特別快速「特別快速エアポート成田」、房総へ向かう急行、同じく房総へ向かう新聞輸送列車が走っていた。



図1 総武本線(西側)の路線図




写真1 総武本線の特急列車


2. 新小岩駅の概要

 起点の東京駅から数えて6駅目の新小岩駅は1926年2月14日に新小岩信号所として開業。2年後の1928年7月10日に旅客駅となった。各駅停車と快速電車、一部の臨時列車が止まる駅で、定期の特急列車、通勤快速は通過する。かつては駅の東側に広大な新小岩操車場が存在した。現在、新小岩操車場の跡地はマンションや、サッカー場になっているほか、一部は新小岩信号所として現在でも総武本線の貨物列車が使用している。


3. 駅の特徴

 総武線の錦糸町〜千葉間は複々線化されており、特急列車と快速電車が走行する急行線と各駅停車が走行する緩行線で分かれて運行している。新小岩駅は駅の北側に急行線の15両分の島式ホームが1面2線、南側に緩行線の10両分の島式ホームが1面2線の合計2面4線の駅である。さらに、急行線の北側には機関車の機回し線と小岩〜越中島貨物間を結ぶ路線、通称、越中島貨物線がある。駅構内の商業施設は2つのホーム上と南口の改札外に売店が3店。改札内に駅そばと本屋、パン屋、無印良品がある。南口の改札外にはびゅうプラザとみどりの窓口がある。過去に新小岩の駅そばはネズミの入ったカレーを客に提供してしまったことがあり、その日を境に新小岩駅の駅そばではカレーの販売がなくなった。出口は北口と南口がある。しかし、南北を結ぶ自由通路がないため、南北の移動をするには駅の外側を大回りして行き来しなければならず、不便である。


4. 新小岩駅に停まる電車

4-1. 各駅停車

 各駅停車は千葉から御茶ノ水までを総武線各駅停車として、御茶ノ水駅から三鷹、武蔵小金井、立川までを中央線各駅停車として走る。総武線と中央線の複々線区間の緩行線を走り、すべての駅に停車する。車両はE231系0番台と209系500番台を使用している。E231系は5号車に6ドア車両があるが209系には6ドア車両がないため、それぞれの形式でE231系は列車番号の末尾がBの運用に、209系は列車番号の末尾がCの運用に入り、運用が分けられている。ただし、運行状況によっては代走が発生し、朝ラッシュ時のB運用中心の時間帯の時に209系が代走で来ると5号車付近で整列乗車が乱されることもたびたびおこる。



写真2 E231系0番台と209系500番台


4-2. 快速電車

 東京から錦糸町〜千葉間の複々線区間のうち急行線を通る電車は総武線快速電車と呼ばれる。東京〜千葉間の総武線区間のみの運用もあるが、ほとんどは東京から横須賀線に直通し、逗子や久里浜まで走る。また、千葉から先も総武本線、内房線、外房線、成田線、鹿島線に直通する運用もある。この内、成田線の成田空港へ向かう下り列車のみ「快速エアポート成田」という名称で運行されているが、停車駅は他の快速と変わらない。総武快速線に自動放送が導入される前の快速エアポート成田は錦糸町発車時に車掌による車内放送の後に英語の放送が流れることがあったため、それが数少ない他の快速との違いであった。車両はE217系電車の11両編成と11両+4両の15両編成を使用している。座席は千葉寄りの3両はセミクロスシートを採用し、その他はロングシートとなっている。新小岩駅では15両編成はホームいっぱいに停まるが、11両編成は東京寄りの4両分のスペースには止まらない。放送や電光掲示板を確認して両数を確認しないと最大で80mほど歩かなくてはならなくなる。ちなみに、同じ電車で運転する通勤快速は錦糸町〜船橋間の駅には停車しない。通勤快速の走る朝の上りと夜の下りに新小岩駅を利用する場合はこの電車には乗ることができないので注意が必要だ。



写真3 E217系


5. 今後の新小岩駅

   新小岩駅には南北を結ぶ自由通路がないため、南口から北口、または北口から南口へ行くことは大回りをしなければならないので大変不便である。その不便な南北の移動も2018年度の完成を目標に進められている南北自由通路が完成すれば南北の自由な行き来が可能になる。それだけでなく、現在は南北ともに改札口と線路下の通路上に階段があるため高齢者や障害者が使いにくい構造になっているが、南北自由通路が完成すると同時に全ての利用者がエレベーターやエスカレーターを使わずに自由通路を通ることができるように線路下を整備することで、移動の高低差を最小限にする計画がある。また、現在は総武線を境に南北に分断されている状態の駅周辺の人の流れをよくし、地域の活性化を図るために駅の南北の商店街を一直線で結ぶ位置に整備する計画だ。
 2年前から新小岩駅で人身事故が多発している。2013年に入っても6月27日に1件、8月19日に1件発生している。対策としてホームに警備員が緩行線ホーム快速線ホームともに各2名ほど常駐している。人身事故との関係は不明だが、事故発生以降に、屋根の一部に青色の半透明のプラスチック、駅の端に青色のLEDランプ、ホームと改札口付近でクラッシック音楽を流すことなどが新たに始まった。新小岩駅のある葛飾区は2012年7月にホームドアの設置を要望し、JR東日本も設置を検討している。そのため、新小岩駅にホームドアが設置される可能性もある。



写真4 事故後に設置された装置


参考文献
  • 今尾恵介:「日本鉄道旅行地図帳3号関東1」、新潮社、pp.32-33、2008年
  • 葛飾区:「新小岩駅南北自由通路の整備を進めています」、http://www.city.katsushika.lg.jp/30/132/13738/013459.html、2013年8月参照
  • 毎日jp(毎日新聞):「新小岩駅:JR東、ホームドアを検討 飛び込み相次ぎ」、http://mainichi.jp/select/news/20130628k0000m040096000c.html、2013年8月参照



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