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交通システム工学科1年 3039番 K.K. |
1. はじめに 横浜線は東神奈川駅から八王子駅までの42.6キロを結ぶ路線(幹線)である。 もともとは八王子や信州で生産された生糸を横浜港へ運搬するために建設された路線で、その歴史は古く八王子駅から東神奈川駅までの全線が開業したのは105年前の1908年である(2013年現在)。開業当初は「横濱鉄道」という私鉄だったが、1917年に国有化された。 現在は横浜市の北部から同市中心部へのアクセス路線として機能するとともに、東神奈川駅で京浜東北線、菊名駅と長津田駅で東急線、新横浜駅と中山駅で横浜市営地下鉄、町田駅で小田急線、橋本駅で京王線、八王子駅で中央線と、東京都心から放射状に伸びる複数の路線と接続し、いわゆる環状路線としての機能も有している。このため、郊外路線でありながら、JRの前身である日本国有鉄道の時代から数少ない黒字路線であった。 開業から100年目の2008年には「横浜線100周年」としてイベントが催され、ジョイフルトレインを用いた特別列車や、「横浜線100周年」のヘッドマークを付けた電車が運行された。 2. 横浜線と東京メガループ 多くの私鉄と接続する東京圏の環状線群である横浜線は、東京メガループに指定されている。この東京メガループには横浜線のほかに、武蔵野線、京葉線、南武線が指定されている。 JR東日本は、東京郊外の環状交通を担うこれらの4路線の利便性の向上に力を入れている。横浜線においては2014年度から車両を現在主力である205系を新型車両のE233系へと順次置き換え、明るいホームを実現するためにホーム照明をLED化、新型改札機の設置、駅表示案内板や案内サインを従来のものより分かりやすい新しいものに更新するといったサービス向上が行われる予定だ。 3. 車両 横浜線では、2013年現在、以下の車両が充当されている。 3-1. 各駅停車・快速・・・205系0番台 写真1 横浜線の主力 205系0番台(100周年記念のヘッドマークをつけている) 各駅停車と快速には、鎌倉車両センター所属の205系0番台が使用される。横浜線の主力であり、8両編成28本で運用されている。 なお、横浜線主力車両である205系0番台の車両基地は鎌倉車両センターであるが、この場所を車両基地として使う場合、横浜線の沿線から遠く離れた大船駅まで車両を回送させなければならない。そのため、橋本駅近隣の橋本派出所と、東神奈川駅近隣の東神奈川派出所が実質的な車両基地となっている。また、八王子駅、橋本駅、中山駅、小机駅、東神奈川駅において夜間停泊を兼ねた留置が行われる。 3-2. 相模線直通列車(朝夕のみ)・・・205系500番台 朝夕に運転される相模線直通列車には国府津車両センター所属の205系500番台が使用される。この車両は相模線仕様の205系で、前面のデザインが一般的な205系と異なるのが特徴である。 3-3. 特急はまかいじ・・・185系 主に土・日・祝日に運転される臨時の特急はまかいじには、大宮車両センター所属の185系が充当される。以前には2往復運行された時期があり、長野車両センター所属の183・189系が充当されたこともあった。 写真2 特急はまかいじに使用される185系 4. 運行形態 初電・終電とその付近は15分から30分間隔、平日朝の7時から8時台の上り(東神奈川方面)と、8時台の下り(八王子方面)は3〜4分間隔で運行されている。また、夕方から夜にかけては、5分から7分の間隔で運行されている。日中は桜木町駅〜八王子駅間の快速、桜木町駅〜八王子駅間の各駅停車、東神奈川駅〜橋本駅間の各駅停車がそれぞれ毎時3本、20分サイクルで運行されており、合計すると1時間あたり9本が運行される。 横浜線は、東神奈川駅〜八王子駅間のほか、東神奈川駅から京浜東北・根岸線に乗り入れ、桜木町、磯子、大船方面にも運行されている。また、橋本から相模線に直通する列車が朝夕のみ運行されており、1時間あたり1〜2本である。日中は1時間あたり5〜6本と、7割の列車が京浜東北・根岸線に乗り入れ、桜木町駅まで運行される。朝夕に京浜東北・根岸線に乗り入れる列車はあまり多くなく、1時間あたりに2〜3本ほどしかない。 図1 路線案内図 5. 種別について 5-1. 各駅停車 始発から終電まで運行される最も多い種別である。すべての駅に停車する。早朝・深夜・朝夕の列車はすべてこの各駅停車となる。 5-2. 相模線直通各駅停車 橋本駅で接続する相模線から横浜線に乗り入れてくる列車である。横浜線側から相模線に乗り入れる列車もある。この列車は朝夕のみ運行される。 5-3. 快速 主に日中に運行され、すべての列車が東神奈川駅から京浜東北・根岸線に乗り入れ横浜方面へ直通する。ほとんどは桜木町駅までの運行だが、土・日・祝日の八王子駅8時55分発の快速に限り根岸線経由で大船駅まで運転され、同じく17時30分発の快速は根岸線の磯子駅まで運転される。また、前述の快速大船行きは以前、大船駅からさらに横須賀線に直通し、逗子まで運転されていたが、2006年3月のダイヤ改正で大船駅までの運行に短縮された。快速列車が設定されているものの停車駅が多いため、速達性は低い。 5-4. 特急「はまかいじ」 1996年4月27日より主に土・日・祝日に運転されている、横浜駅と松本駅を直通で結ぶ特急である。車両は大宮車両センター所属の185系6両編成が充当される。運転開始当初は甲府までの運転だったが徐々に運転区間が拡大され、2003年からは横浜駅から松本駅を結ぶ特急として定着した。前述の通り、以前は2往復運転された時期があり、183・189系が充当されたことがある。 5-5. その他臨時列車 日産スタジアムでイベントが開催されるとき、最寄り駅である小机駅までの臨時列車が運行されることがある。 写真3 普段は運行されない、臨時の小机行方向幕 また、1年に数回183系を用いた修学旅行列車が運行される。 写真4 修学旅行列車 2008年の横浜線100周年の際には、485系「やまなみ」を使用した「横浜線100周年号」と、485系「いろどり」を使用した「横濱ものがたり号」が運転された。 写真5 横浜線100周年を伝える横断幕 写真6 「横浜線100周年」号 写真7 「横濱ものがたり」号 6. さいごに 横浜線は郊外路線ということもあり、あまり存在感のない路線ではあるが、意外にもその歴史は古く100年以上もの間活躍してきた。ここ20年ほどは大きな変化が無かったが、E233系の導入や、駅案内図や自動改札機の更新といった設備面の大きな更新が今後行われる。特に埼京線の205系が撤退した後、205系の原型車が東京圏で見られるのは横浜線だけになるので、205系ファンの人はこの機会にぜひ横浜線を訪れてほしい。 参考文献
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