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〜 新潟の485系 〜

社会交通工学科3年 1147番 山根 佑太

1. 485系について

 485系は特急の代名詞とも言える、国鉄の代表すべき車両である。国鉄最多両数の特急電車グループであり、交直流電車として、函館から鹿児島まで、あらゆる場所に足跡を残し、ボンネット型から非貫通型まで各種の顔つきが存在する、バリエーション、汎用性を持つ車両である。
 1964年、向日町運転所(現、吹田総合車両所京都支所)に41両が新製配置され、同年12月より特急「雷鳥」(大阪〜富山)、特急「しらさぎ」(名古屋〜富山)という2つの新たな北陸本線の特急に投入され、その歴史を開始した(481系)。翌年には、東北本線の特急「ひばり」(上野〜仙台)、特急「やまびこ」(上野〜盛岡)でも運転を開始した(483系)。
 1968年、50Hz,60Hzの双方に対応したモーター車が登場。このときから485系と呼ばれるグループが誕生し、いよいよ全国にその活躍を広げることになる。長年にわたり製造、運用されたため、ボンネット型の0、100番台、貫通型の200番台、非貫通型の300番台、寒冷地向けの1000番台、北海道向けの1500番台、大改修後の3000番台と多くのバリエーションが存在する。


2. 現在の485系

 国鉄の最多両数を誇り、民営化後も全国各所で活躍していた485系であるが、車両の老朽化や、利用者の車両に求める要望の変化、時代の変化によりその数を減らしつつある。しかし、新潟車両センターでは111両の485系(ジョイフルトレイン改造車含む)が現在もなお活躍している。今回は、この新潟車両センター所属の485系について書いていくこととする。


3. 新潟車両センターの485系

 新潟車両センターの485系は、大きく分けてT編成、R編成、K編成の3種の編成に大別され、特急「北越」、「いなほ」、快速「くびき野」、「おはよう信越」、「らくらくトレイン信越」、「ムーンライト越後」等の運用に就いている。
 また、新潟車両センターの485系は全国から集められ、製造年、経歴、用途も様々であった。よって、編成それぞれに特徴や個性、他の編成との差異が見受けられ、良く言えばバリエーションに富む、悪く言えば統一性に欠ける編成となっている。
 これらが良く見受けられるのが座席であり、簡易リクライニングシートからリニューアルされたリクライニングシートまで十人十色の座席が備わっている。(編成内で差が出ることもある。)


3-1. T編成(6連×8本)

 主に1000番台で組成されている編成。いなほ・北越運用が中心のT11〜T15、T18編成、くびき野中心のT16・T17編成がある。
 T18編成を除き全車が上沼垂色と呼ばれる塗装をしている。またT17編成には、特急シンボルマークがなくジャンパ線を装備しているクハ481-332が連結されていたりと、編成毎に特徴が多い。



写真1 上沼垂色T12編成


3-2. T18編成

 T編成の中で唯一国鉄特急色を纏った編成。また、北海道用に製造された1500番台(クハ481-1508)を連結しているのも特徴。
 この1500番台は、北海道の極寒地向けに制作されたにも関わらず、故障が相次ぎ北海道で運用されなくなった経緯を持つ悲運?の車両である。
 K編成の代わりにムーンライト越後の運用に入ることもある。



写真2 国鉄特急色T18編成
2灯ライトが特徴の1500番台



3-3. R編成(6連×7本)

 3000番台で構成される編成。1996年から2001年にJR東日本が1000番台を中心に行ったリニューアル改造車。特に前面形状が大幅に変更されており、新車同然の様変わりとなった。
 主に「いなほ」、「北越」の運用に就いている。



写真3 3000番台 R22編成


3-4. K編成(6連×2本)

 300番と1000番台で構成されている編成。全車国鉄特急色を纏っている。ムーンライト越後の運用に就くため、首都圏乗り入れ用のATS−Pを装備している点が最大の特徴である。普段は「北越」等の運用に入ることもある。



写真4 ATS−PマークのK1編成


4. 485系の今後について

 今もなお485系電車は活躍を続けているが、製造からかなりの年月が経っており先は短いと考える。JR東日本は特急「いなほ」の高速化のため、E653系を新潟に転属させ、E653系1000番台としてこの秋から運用を始める予定だ。これにより485系のT編成は置き換えられる運命にあると断言してもよい。また、R編成もリニューアル改造しているとはいえ、元は同じく485系である。T編成の置き換えが終了した時、次に置き換えられていくのは目に見えている。
 このように国鉄特急の花形として活躍した485系電車も、その長い歴史に幕を下ろそうとしている。この記事をご覧になって興味を持っていただけたら、ぜひ新潟で今日も働く485系を一目見に行ってあげていただきたいと切に願う。


参考文献
  • 裏辺研究所:「日本の旅・鉄道見聞録」、http://www.uraken.net/rail/index.html、2013年8月参照
  • 知識の倉別館:「新潟車両センター編成表」、http://3rd.geocities.jp/kura_1987/train/formation/jre/niigata.html、2013年8月参照
  • ずっきーの鉄道部屋:「新潟セ485系K・R・T編成運用表 [13.3.16改正]」、http://blogs.yahoo.co.jp/shinkaisoku_223_205_198kurosio/25030943.html、2013年8月参照
  • JR東日本 新潟支社:「特急「いなほ」の車両を一新します!」、http://www.jrniigata.co.jp/press/20130626e653.pdf、2013年8月参照



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