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〜 プラレールを自作してみた 〜

社会交通工学科3年 1142番 S.Y.

1. はじめに

 国民的な鉄道のおもちゃとして有名なプラレールだが、販売されているのは有名なものや新車がほとんどである。そのためマイナーな車輌や古い車両が製品化されることはほとんど無く、製品化されても車両によっては生産中止されて、入手が困難なもの(583系や205系、営団6000系など)も多く存在する。
 そのため、自分の欲しい車輌の中で製品化されていないものは、自作するしか無い。
 一番簡単な方法は、塗装を落とし、それっぽい色にしてごまかすという方法があるが、ここでは車体をほぼ自作して車輌を新たに作るという方法をとった。
 今回は、三岐鉄道北勢線の270系をモデルとした車輌を作る。
注意!:プラレールの改造は自己責任でお願いする。プラレールは安全性の関係上強度があり加工がしにくいため、作業中に怪我等を負った場合の責任は負いかねる。
以上のことを留意した上で車体の加工を行っていただきたい。


2. 必要なもの

2-1. 工具類

 ニッパー、プラスチックカッター、カーターナイフ、かみやすり(最低でも400番のもの、フィニッシングペーパーが最適)、金属定規、カッターマット、プラ用接着剤、ABS用接着剤、ゴム系接着剤、瞬間接着剤、面相筆、パテ類


2-2. 本体、塗料関係

 改造ベース車、プラ板、プラ角材、各種部品、各種塗料、薄め液



写真1 今回ベースとした車輌




写真2 モデルとした車輌


3. 作り方

3-1. 車体の設計

 今回は、車体を自作するため、改造のベースとなる車体の寸法を参考にして作る。
 寸法を測った後、それをもとに車体前面と側面の設計を行うが、最終的には現物合わせで調整していくため、寸法はあくまでも目安とし、中心を正確に維持することを意識する。
 車体のデザインは、実車のイメージを掴みつつディフォルメしていく。
 次に、そのデザインをもとに薄めのプラ板に書いていき、原型となるものを作る。



写真3 側面を設計中


3-2. 前面・側面の製作

 その原型をもとに側面と前面を作っていくが、今回はプラ板を2枚重ねにして作る。
 最初に、原型となるものから窓を切り抜き、それを型にして0.5mmプラ板に書き写し、必要枚数分切り出していく。次に原型からドア部分を切り落とし、先ほどのものと同じ要領で切り出す。
 次に、作った2種類のプラ板を接着し組み合わせることで側面・前面のパーツは完成する。このとき、側面はパーツの組み合わせを間違わないよう気をつける。



写真3 側面1枚目




写真4 側面2枚目


3-3. 車体の加工・組み立て

 今回は、車体の前面と側面を自作し屋根を流用して作るため、車体から屋根の部分を切り取っていき、切断面を整えて自作した側面がしっかりつくようにする。場合によっては、動力スイッチの開口や足回りの加工も行う。
 この加工が終ったら、3-2.で製作した前面・側面と組み合わせて車体を作る。この時に使う接着剤は、屋根との接着にはABS用のものを、それ以外の箇所にはプラ用のものを使用する。また、車体の強度確保のためにプラ角剤を使う。このとき動力ユニットと角材の干渉等を考慮する。
 車体の組み立てが完了し接着剤が完全に乾燥したのを確認したところで、隙間埋めの加工を行う。この時使うものは瞬間接着剤かパテだが、場合によって使い分ける。
 屋上機器等の取付け等によるディテールアップも、場合によってはこの段階に行う。今回は、ヘッドライトの再現に市販の丸モールドパーツ、雨樋の位置変更のために3mmのプラ角材を使用した。



写真7 車体組立中


3-4. 塗装

 ひと通り車体の組み立てが終わったら、塗装の作業に移る。塗装を行う前に下準備として車体を洗浄する。これは車体に付着した汚れなどを洗い落とすためで、洗浄には使い古しの歯ブラシと中性洗剤を用いる。洗浄し乾燥したことを確認したところで塗装に移る。  塗装する順番は原則として薄い色から行うが、白のように隠蔽力が低い色や塗装面積が小さい色を先に塗装する。塗り分けにはマスキングテープを使う。筆で塗装を行う際は、色ムラと厚塗りを防ぐために薄く何回かに分けて塗る。スプレー缶は厚塗りと液ダレを防ぐためにも、筆塗りと同様に何回かに分けて塗装する。厚塗りを行うと塗料の乾燥に時間がかかってしまうが、薄く何回かに分けて塗装したほうが結果的に乾燥時間が早くなり見栄えも良くなる。  その後、好みで色差しを行う。



写真8 完成


参考文献
  • 南野哲志:「三岐鉄道開業80周年 徹底解説、三岐鉄道!」、「RailMagazine」、第28巻11号、pp.120-129、2011年7月



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