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〜 JR貨物九州支社4075列車について 〜

社会交通工学科3年 1027番 大崎 意

1. 初めに

 2013年3月16日現在、日豊本線には2往復の定期貨物列車が設定されている。そのうち、北九州発南延岡行の貨物列車が4075列車だ。北九州を早朝に出発し、途中の延岡に昼に、終点の南延岡には14時前に到着し、特徴的な編成や風光明媚な区間を走るため沿線ではファンの恰好の被写体となる(もう1本の4071列車は朝が早すぎて冬場になると延岡近辺でしか撮影できないため)。


2. ダイヤについて

 4075列車の種別は高速貨物Bで、最高速度は95km/h。朝の6時19分に北九州貨物ターミナルを出発。途中西大分には9時09分、延岡には12時53分に到着。車両の切り離しを行い、終点の南延岡には13時41分に到着する。実に7時間22分の長旅である。このほかにも定期旅客列車との関係で行き違いや追い越しで運転停車する駅もいくつかある。


3. 編成について

 貨車はすべてコンテナ車で構成されていて、西大分〜延岡間では最大11両編成(機関車合わせて12両編成)、延岡〜南延岡間では最大5両編成となっているが、需要に応じて編成が変わるため、お盆などになると単機や1両のみという日もある。



図1 編成図

 この日は、牽引機門司機関区のED76 1021号機、コンテナはJR貨物(JRF)持ちのコンテナのほかに日本石油輸送(JOT)のコンテナ、そしてこの列車最大の特徴である日本陸運産業(NRS)のコンテナも積載している(後述)。車両はコキ104(車体枠水色)、コキ106(車体灰色)、コキ200(車体色明るい茶色)、コキ50000(暗い茶色)が使用されている。


4. コンテナ、車輌について

 延岡で切り離される編成は主にコキ104、106、107形が充当されている。一方南延岡までの車両は、荷主の旭化成への対応から原料を輸送するタンクコンテナ積載用にコキ106型(1個積載)と200型(2個積載)が、工場で生産された製品を輸送するコンテナ車にコキ50000型が使用される。



写真1 コキ107/写真2 コキ50000




写真3 コキ200

 コンテナは一般的な12フィートコンテナが主体で、JRFと大きく書かれた19D型が多くみられる。しかし、このほかにも複数の自社保有のコンテナを積載しており、宝酒造の関連会社であるタカラ物流システムや、日本石油輸送(以下JOT)のコンテナが多い。南延岡発着の12ftコンテナはすべてJOTのコンテナで、UR18AやUR19Aが使用されるが、中でも特徴的なのがUT13C-8000(日本陸運産業所有)だ。UT13C-8000は、これまでタンク車(タキ5450)で行ってきた液化塩素の輸送を代替する目的で製造され、すべてが大牟田〜北九州〜南延岡で使用されている。重量と高さがISO規格外で、コキ50000とコキ100〜105に積載することができない。UT13C-8000は色で区別でき、枠が黄緑色の場合、大牟田発着のコンテナで、青枠の場合が北九州発着となっている。また、大牟田発着はコキ200が使用され、1両に2個連番で積載される。一方、北九州発着はコキ106に1個積載され、2個でもコキ200は使用されずコキ106×2で対応する。以前コキ200が原因の脱線事故があり、コキ200への積載がなかったとき(連結はしていた)の南延岡発着の編成はコキ50000×2、コキ106×3、コキ200の最大6両編成で運転が行われていた。



写真4 UT13C-8000タンクコンテナ(2013年2月27日/南延岡駅にて)




写真5 一昔走っていたタンク車による液化塩素輸送(4572レ/2006年11月5日/北延岡にて)

 けん引機は長らくED76 0,1000が担当していたが、2013年のダイヤ改正からEF81 300,400,450,500が担当することとなった。なお、ED76以外の電気機関車が営業運転で大分以南に入るのは南宮崎電化の1974年以来初めてである。





各機の紹介。撮影は全て南延岡で撮影。
写真6(左上) ED76 0(58号機/2013年2月22日)
写真7(右上) EF81 300(301号機/2013年9月6日)
写真8(左下) EF81 400(403号機/2013年9月5日)
写真9(右下) EF81 450(454号機/2013年3月16日)

 ED76は南宮崎電化時から活躍している。基本の0番台と高速貨物用の1000番台があり、現在は朝の4071列車他九州各地でその活躍を見ることができる。
 EF81は、基本番台から重連総括装着仕様に改造された400番台、EF30の置き換えのために導入された通称「銀釜」の300番台(4両のうち301,302はローズピンク、304は休車)、JR貨物発足後に製造された九州向けの450番台(451と452は角目ライト)、最近では、日本海縦貫線向けだったはずの500番台が門司に転入し活躍している。


5. 写真館(画像は特記がない限り4075列車)



写真10 EF81 452以下コキ13連/2013年8月30日/杵築〜大神




写真11 EF81 406以下コキ8連/2013年9月7日/重岡




写真12 EF81 406以下コキ8連/2013年9月7日/市棚〜北川




写真13 EF81 406以下コキ5連/2013年3月20日/市棚〜北川




写真14(左) ED76 1019以下コキ10両/2013年2月23日/北川〜日向長井
写真15(右) 4071レ/ED76 59以下コキ10両/2013年8月28日/北川〜日向長井




写真16(左) EF81 452以下コキ9連/2013年8月27日/北川〜日向長井
写真17(右) 4071レ /ED76 56以下コキ10連/2013年9月8日/北川〜日向長井




写真18 EF81 403以下コキ6連/2013年9月5日/北延岡〜延岡




写真19 EF81 403以下コキ3両/2013年9月5日/延岡〜南延岡




写真20 EF81 403以下コキ3連&D35-1/2013年9月5日/延岡〜南延岡


6. 最後に

 日本全国さまざまな貨物列車が走っているが、ここでしか見られない特徴的なコンテナや山あり海ありの路線を走る4075列車。朝から追いかけて南延岡での専用線への引継ぎまで記録するのが楽しい列車なので一度撮りに来てはいかがだろうか?


参考文献
  • イカロス出版編集部:「Fを追う! 追跡 日豊本線4075~4076レ」、「J-train」、Vol.50、pp.88-94、イカロス出版、2013年5月



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