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〜 保線区車両キットの動力化 〜

機械工学科3年 1146番 二井 聡史

 はじめに、この記事はあくまでも日々のサークル活動の内容を記載したものであり、この記事を読んで改造を行った際に失敗したとしても当サークルでは責任をとることができないため、改造する際は自己責任でお願いする。


1. 目的

 キットは本来、飾っておくものであり鉄道模型のように動くものではないが、これを動くように改造して、保線作業の様子を再現して楽しむ。


2. 制作目標

 動力化にともない、運転席のシースルー化とキットの外観を損なわないよう、外から見えるところは極力改造しないように制作する。


3. 材料



写真1 キットの仮組み

 今回は、GREENMAX製着色済みストラクチャーキットシリーズの保線区車両、動力はHP-01-10247-4の超小型モーターを使用し、残りの材料は鉄道模型のジャンク品を用いる。使用したジャンク品はTOMIX製スプリングウォーム、KATO製集電板、マイクロエース製トレーラー車用集電シューと車輪と集電スプリングと動力車用ギアー付車輪、外形1.2mm内径0.8mmの真鍮パイプなどである。


4. 制作

 まず土台に付ける左右のパーツの車輪がはまる部分に1.4mmのドリルで穴を空ける。土台部分の不要な部分を全てカットする。そのままでは車輪が土台と干渉してしまうので、邪魔な部分をノミで削りモーターを入れるエンジン部分もモーターが丁度はまるように6mm程度ナイフでカットしておく。



写真2 加工後の左右のパーツ/写真3 加工後の土台部分のパーツ

 次に集電板からリード線を通すため、ナイフで土台の余分な部分をカットしておき、土台と左右のパーツを接着しておく。このときキットのままだと強度がないので、端の4箇所と真ん中2箇所にプラ棒をカットしたものを接着して補強しておく。(今回補強材としてプラ棒を使用したが補強出来ればなんでもよいため、材料には特に明記していない)



写真4 土台と左右のパーツの接着

 集電シューの長さが足りないので車軸間隔に合うよう2つの集電シューをカットし、はんだ付けする。このまま集電シューを取付ると土台と干渉してしまうので余分な部分をカットする。



写真5 加工前の集電シュー/写真6 加工後の集電シュー

 真鍮パイプを2mm程度の長さに切断し、モーターの軸に取り付ける。次にスプリングウォームのギアーとの噛み合わせ部分を5mm程度の長さにカットし、真鍮パイプに接着する。モーターのリード線が長すぎるので20mm程度の長さにカットしておく。集電板を15mm程度の長さにカットし、リード線とともにはんだ付けする。モーターが集電板に触れるとショートしてしまうおそれがあるので、モーターの軸以外の金属部分をセロハンテープで絶縁しておく。



写真7 真鍮パイプの取り付け/写真8 スプリングウォームと集電板の取り付け

 集電シューに集電スプリングを取り付けて、土台左右のパーツに接着する。このとき集電スプリングが長すぎるので少しカットしておく。次に車輪を取り付けるが、前輪にギアー付き車輪、後輪にトレーラー用車輪を取り付ける。車輪を取り付けた後うまく回転しない場合は、車輪の中間部分にあるプラスチックの長さを少し短くカットして車輪の幅を狭くしてなめらかに回転するようにする。



写真9 集電板と集電シューの取り付け/写真10 車輪の取り付け

 次にモーターのスプリングウォーム部分を前輪のギアーに噛み合わさるよう調整して取り付けて、モーターと土台部分を接着する。
 最後にエンジン部分の中と後輪前後の空きスペースを利用して重りを取り付ける。重りはGREENMAX製の車両キットに付属するウエイトを切断・加工したものを使用する。(今回重りとしてGREENMAX製のウエイトを使用したが、重りになるものであればなんでもよいので材料には特に明記していない)



写真11 切断・加工した重り/写真12 車両に取り付けた重り

 運転席部分のパーツを組んでモーターと重りが入るように余分な部分をカットする。



写真13 運転席部分の加工

 以上の作業が終了し、保線区車両の残りのパーツを取り付ければ完成する。



写真14 完成した保線区車両


5. 反省点

 今回この会誌を書く上で保線区車両の動力化を行ったが、制作時間が極端に短い中、制作する必要があったため動力装置の設計を行わずに、既に出来ている部品を改造して作る方法をとっている。そのため部品が上手くはまらなかったり、重りが足りず走行時に車輪が浮き上がってしまい、通電不良などでギクシャクした動きをしてしまうものになってしまった。また、運転席のシースルー化を目的に制作していたが、それを行うと取り付けられるモーターの大きさや床下のギアー配置が極端に制限されてしまったため、前輪駆動のみとなってしまい動力としていい物ができなかった。


6. 今後

 反省点を活かし、同じものを作る時はモーターの大型化と前後輪駆動になるようきちんと動力の設計を行うつもりである。
 今回作った保線区車両は、通電さえすればきちんと走るようなので通電性能を向上させるため、キットに付属する保線区用具運搬車を集電専用車両に改造して、保線区車両と接続し、集電不良を改善させる予定である。



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