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〜 GM未塗装キットを綺麗に仕上げる 〜

社会交通工学科2年 1142番 山上 俊一

1.はじめに

 鉄道模型は完成品を走らせるというのが主流になってきているがキットを組み立てて車両を作ることができる。また発売がされていない車両も複数のキットを組み合わせることで作ることもできるし、改造の実験材料としても十分有用だ。
 今回はグリーンマックス製の未塗装の客車ボディキット「国鉄スハフ42形」を作例に作る。



2.必要なもの

1.工具類

 ニッパー、カーターナイフ、紙やすり(最低でも400番のもの、フィニッシングペーパーが最適)、金属定規、カッターマット、プラ用接着剤、ゴム系接着剤、瞬間接着剤、面相筆


2.本体、塗料関係

 キット本体、台車等別売りパーツ(電車を作る場合動力ユニット、パンタグラフ等も必要)、各種塗料(車両によって必要な塗料が異なる。パッケージを参照し必要な物を用意する)、塗料皿、うすめ液、マスキングテープ



写真1 必要となる工具類



3.作り方

1.パーツの切り離し

 まずパーツをランナーから切り離すのだが、パーツはまず写真2のように切り離す。こうしたほうがランナーからパーツを切り離しやすくなるためだ。ゲート痕の処理はパーツ同士の密着性を出すためにしっかりと行う。



写真2 まずは写真のようにパーツをランナーごと切り離す



2.屋根のケガキ・パーツの取付け

 これは屋根の中心線を出す作業で、ピンバイス用のガイド穴が無いときにベンチレーターやクーラーを取り付けるときに行う。その方法の一つとしてテープを使うものがある。その方法は屋根にテープを何枚か貼り、それらを二つ折りにして中心線を見つけそれらをつなげるという方法だ。
 中心線が引けたら、説明書の寸法通りにベンチレーターの位置線を十字に罫書く。またベンチレーターの位置は0.5ミリ単位になっているので金属定規を使うことを薦める。
 今回はベンチレーターの裏側に1本足がないため塗装後に取り付けが出来ないためこの段階で屋根に接着する。




写真3 中心線の出し方



3.車体の組立

 ここで切り取ったパーツを組み合わせて作っていく。この時使用するパーツを確認してから組みたてる。まず妻面と側面を接着させる。この時しっかりと直角を出すために金属定規を当てて直角を正確に出しL字に組む。
 完全に固まったのを確認してから次にロの字に組む。この時すぐに接着剤をつけるのではなく、仮組みを行なってから接着する。
 屋根を接着する際は雨どいが一定になるように調整を行い、瞬間接着剤で仮固定してから接着剤を流し込む。



写真4 金属定規をあてて直角の確認をする



4.隙間埋め

 屋根を無事に接着した後、一度車体をよく見て合わせ目の確認をする。もしパーツの合わせ目に隙間が開いていた場合は、瞬間接着剤を合わせ目に盛りつけ完全に固まったらヤスリで削る。この作業を繰り返し行い、合わせ目を消していく。このとき削りすぎないように注意をする。



写真5 加工前




写真6 加工後



5.床下機器の取り付け

 床下機器は説明書に従って取り付けるが、一部の部品は肉抜き穴が大きいものがあるのでプラ板で塞ぐ。取り付ける前に部品が床板に対して、垂直に付けられるかどうか確認してから接着する。もし垂直ではなかった場合はヤスリで削って調整する。
 またおもりについては決してオモリドメだけで止めるのではなくゴム系接着剤で接着すること。





写真7 床下機器の肉抜き穴埋め



6.塗装

 出来栄えが大きく左右するのがこの塗装だ。まず車体を中性洗剤で洗浄し良く乾燥させる。
 乾燥させたあと普通ならば塗装作業に入りますが旧型客車のドアのように大きな段差があり、通常は塗装後に筆入れをするが、今回は車体が一色なので塗装前に予め筆塗りで塗装し塗料が回りにくいところをカバーする。
 そのあとは通常通りに塗装する。塗装する際は一回で塗ろうとはせずに、最低でも一色につき三回に分けて塗装する。そうすることで厚塗りや液ダレを防ぐことにつながる。
 また車体色が二色以上の時はマスキングを行う。この時はマスキングテープでしっかりと覆いマスキングしたところに塗料が回らないようにする。
 屋根の塗装は車体をマスキングして同様に塗装する。この時屋根の塗料が完全に乾いたらマスキングテープを剥がさずにつや消しを吹くと屋根の色が落ち着き実物らしくなる。 新車であっても屋根は色が綺麗でも艶は無いからだ。
 出来れば床板の塗装も行うほうが望ましい。
 基本的なことだが、塗装・乾燥時は直接手で触れないこと。


7.色差し

 車体の塗装が終わり透明ガラスを貼り付けたいところだが、色差しを行う場合は貼り付ける前に行う。筆塗りを行う際は新品の筆先が整っている面相筆を用いる。また各種インレタ、デカールを貼り付ける場合はこの段階で貼り付ける。車体部をクリアーコートで保護を行う場合はこの工程が終わってから行う。ステッカーは最後に貼り付ける。



写真8 塗装とHゴムの色差しが終わった車体



8.透明パーツの取り付け

 透明パーツは必ずゴム系接着剤を使う。決して瞬間接着剤を使わないこと。瞬間接着剤を使った場合白色化現象によりガラスが白く濁ってしまうためだ。車体の組立で瞬間接着剤を用いた場合は念のため組み立ててから半日以上経ってから取り付けたほうが望ましい。


9.車体、床板の取り付け

 床板に台車を取り付け、窓ガラスをつけた車体を装着すれば完成。



写真9 完成



4.蛇足 〜旧型客車の車体色について

 現在東日本旅客鉄道で使用されている旧型客車はどれも茶色だが大井川鐵道に所属している車両の中には青色もいる。なぜなら旧型客車は原則茶色に塗装されているが、体質改善車は青色に塗られているからだ。しかし中には青色に変更されなかったものや未改善車にもかかわらず青く塗られた車両も存在する。しかし一部の10系客車などは落成時から青色に塗装されていた。
 ただし特急「つばめ」や特急「はつかり」など運用が固定されていた車両は専用の塗装が施されており、この法則には当てはまらない。



5.参考文献

  • 「グリーンマックス Nゲージ総合カタログ Volum.13」株式会社グリーンマックス





 
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