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5. スカイツリー周辺の路線バス

 東京スカイツリータウンの開業に伴い、従前はほぼ都営交通のみであったバス路線網に大きな変化があった。ここでは、スカイツリーへのアクセスに便利なバスについて簡単に紹介する。


5-1. スカイツリーシャトル

 東武バスセントラルが中心となって運行するスカイツリーシャトルは、東京スカイツリータウンに直接乗り入れる路線バスで、上野・浅草・東京スカイツリータウンを循環する観光回遊型の上野・浅草線の他、東京駅線、羽田空港線、東京ディズニーリゾート線の計4路線が存在する。上野・浅草線は東京スカイツリータウン開業の約半年前から土休日のみ試験的に運行を行なった。タウン開業に伴い、上野・浅草線の本運行を開始、そのほかの路線が開通することとなった。各路線の担当所は以下の通り。

上野・浅草線:東武バスセントラル西新井営業所
東京駅線:東武バスセントラル足立営業事務所、JRバス関東東京支店・八日市場支店等
羽田空港線:東武バスセントラル足立営業事務所、京浜急行バス京浜島営業所
東京ディズニーリゾート線:東武バスセントラル足立営業事務所、京成バス奥戸営業所



写真7(左) 上野・浅草線は一般路線タイプを使用。一部はガラスルーフの特別仕様。
写真8(右) 東京駅線、羽田空港線、東京ディズニーリゾート線は高速タイプを使用。



5-2. 墨田区内循環バス「すみだ百景 すみまるくん、すみりんちゃん」

 「すみだ百景 すみまるくん、すみりんちゃん」は、京成バス奥戸営業所が運行を受託している、墨田区のコミュニティバスである。北西部ルート、北東部ルート、南部ルートの3つの循環ルートがあり、各ルート15分間隔の高頻度で運行中である。車両は日野ポンチョを改造したもので、ディーゼル車「すみまるくん」は、北西部ルートが茜色、北東部ルートが若草色、南部ルートが江戸紫を基調としたカラーリングとなっている。そのほか、3ルート共通で使用される3色カラーも存在する。1台のみの電気バス「すみりんちゃん」は黄色い車体で、北西部ルートで運行している。「すみまるくん」は、スカイツリーを車内から見上げることができるよう、天井にガラス窓がついている。





写真9(左) 3ルートで使用される「すみまるくん」はガラスルーフになっている。
写真10(右) 「すみりんちゃん」は充電の都合上およそ90分に1本の割合で運行。


5-3. AKIBA with 634

 AKIBA with 634は、秋葉原駅中央口と東京スカイツリータウン前とを結ぶ直通バスで、日立自動車交通が運行している。





写真11 日立自動車交通が運行するAKIBA with 634


5-4. 都営バス

 以前から周辺に路線を持っていた都営バスは、東京スカイツリータウン開業に合わせて押上駅前交通広場への乗り入れなどの再編を行なった。スカイツリータウンへ便利な停留所は、「とうきょうスカイツリー駅前」、「押上駅(スカイツリー前)」、「押上」などである。





写真12(左) とうきょうスカイツリー駅前からは「業10」新橋ゆきなどが発着する。
写真13(右) ゲーム「東京バス案内2」に登場した「上23」も押上駅に乗り入れる。


5-5. 京成バス・京成タウンバス

 東京スカイツリーの開業に合わせ、京成グループにも動きがあった。京成タウンバスは、従来の浅草寿町―亀有駅間の路線を東京スカイツリータウン前経由に変更した。さらに、京成バスとの共同運行で浅草寿町―新小岩駅東北広場間に路線を新設し、新小岩駅からはノンストップでスカイツリータウンに来られるようになった。





写真14(左) 京成タウンバスは東京スカイツリータウン前を経由する2路線を運行。
写真15(右) 京成バスは江戸川営業所が担当している。


5-6. 高速バス

 高速バスは、東武グループ(朝日自動車統括グループ)の東北急行バスが運行する「ニュースター号」が、上り1便のみではあるが、東京スカイツリー北停留所に停車するようになった。そのほか、京成グループの千葉中央バスと京王バス東、京王バス南が共同運行する新宿―土気線の一部、奈良交通と京成バスが共同運行する夜行高速バス「やまと号」が、それぞれ東京スカイツリータウン前を経由する。



写真16 東北急行バス「ニュースター号」の東京スカイツリー北停留所は降車専用。



6. おまけ 〜都内初の歩行者優先信号〜

 筆者が属する社会交通工学科の授業で取り上げられた「歩行者優先信号」が東京スカイツリータウンに設置されたので、番外編として紹介する。
 歩行者優先信号が設置されたのは、東京ソラマチと歩行者専用橋「おしなり橋」との間の横断路で、交通量の比較的少ない車道が横切っている。車が来ない限りは歩行者側の青現示を継続する信号で、車両が近づくと画像感知器が感知して車両側の信号機を青とする仕組みである。東京スカイツリータウンの開業に合わせ、都内初の歩行者優先信号として設置された。ちなみに、社会交通工学科の某先生が言うには、「(歩行者が)信号無視したら必ず轢かれる信号」とのことである。



写真17 自動車が近づくと歩行者の信号機は赤になる。



7. おわりに

 東京スカイツリータウンに集まる鉄道とバスについて簡単に紹介した。スカイツリーの開業によって周辺の交通体系が大きく変貌を遂げたが、今後もさらに変化があることだろう。東武鉄道では臨時列車として大宮―とうきょうスカイツリー間にリバイバルカラーの8000系電車が走っているが、このほかに、6050系を改造した観光列車634型「スカイツリートレイン」が登場し、ますますスカイツリーアクセスに力を入れていくと思われる。一方、バスはすでに様々な路線が乱立しているが、必ずしも周知されているわけではなく、利用者への情報提供が課題であるように思われる。いずれにしても、開業ブームが落ち着くころにどうなっていくか見守っていきたいと思う。



参考文献
  • 花上嘉成. 業平橋ものがたり. 鉄道ピクトリアル. 2008, vol. 58, no. 1, p.125-134.
  • 森口誠之. 鉄道未成線を歩く<私鉄編>. 2001.
  • 今尾恵介, 原武史. 日本鉄道旅行歴史地図帳5号首都圏私鉄. 2010.
 その他、各社公式Webページ参照。図・写真はすべて筆者が作成もしくは撮影。





 
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