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5. 変わり種車両

 20年という長きにわたって製造されたため、中には変わった車両も存在する。


クハ411-335

 415系の制御車のクハ411を名乗っていますが、組み込まれたのは423系のF22編成という別形式に組み込まれていた。これは、当該編成が踏切事故に遭遇し、先頭車が廃車となったが当時は旧式の423系は製造しておらず、仕方なく415系の制御車を組み込むことになった。そのため、423系が廃車される1996年に廃車となり、415系初の廃車車両となった。


700番台

 1985年のつくば万博にあわせて常磐線の輸送力増強のために製造されたグループで、全車が中間車となっている。基本的に100番台と同様だが、車端部がロングシート化されている。


サハ411-1601、サハ411-1701

 サハ411-1601は、後述の1900番台組み込みにより設置できなくなるMGやCPを設置するために1両のみが製造された。初めは1900番台と同じ編成に組み込まれていましたが、1900番台が廃車となるとステンレス車体だが、鋼製車の編成に組み込まれていた。
 サハ411-1701は、4両編成2本を7両編成化するにあたり、中間先頭車は他編成に流用するために1両のみが製造された。そのため、1601と同様にステンレス車体ながら鋼製車の編成に組み込まれていた。


クハ415-1901

 クハ415-1901は、常磐線の遠距離通勤の着席率向上のために試験的に製造された車両で、2階建て車両となっている。車端部はセミクロスシートで、1Fが2-2のクロスシート、2Fが2-3のクロスシートで構成されていた。
 着席率向上の切り札として投入されたが、2ドアのため乗降に時間を要すなどの問題が出たため、2006年には運用を離脱。廃車となった。



6. 現在の運用

 現在は、JR東日本、西日本、九州の3社で運用されている。


JR東日本

 勝田電車区(現勝田車両センター)に投入され、常磐線を主な活躍舞台として最大15両編成で運用されていたが、E531系、E231系の投入により上野口から撤退。現在は、1500番台が編成を7両から4両と身軽な編成となり、常磐線の友部〜原ノ町間と水戸線で活躍している。


JR西日本

 七尾線の直流電化に合わせて投入されたため、導入は1991年と遅い。現在も運用範囲はあまり変わっておらず、七尾線と北陸本線の津幡〜小松間で、800番台が全車活躍している。


JR九州

 鹿児島本線や日豊本線の電化に合わせて投入され、一時期はJR西日本の厚東や宇部新川、小郡(現新山口)まで足を延ばしていたが、2007年に西日本側に乗り入れを廃止した。最近まで423系組み込みの1両を除く全車が活躍していたが、0番台未更新車に廃車が出ると、ここ3年で8両廃車、16両が運用離脱した。しかし、現在でもそれ以外は現役であり、関門トンネルという交直流電車が必要な場所で活躍している。また、一部の編成がオールロングシートに改造され、非常に混雑するクロスシートの九州の新型車両のなかで混雑緩和に役立っている。
 現在も運用範囲は広く、鹿児島本線(門司港〜熊本、川内〜鹿児島)、日豊本線(小倉〜佐伯、国分〜鹿児島)、長崎本線(鳥栖〜長崎)、福北ゆたか線、山陽本線(下関〜門司)で、中には門司港〜大分のロングラン運用もある。また、残存数も多く、46編成184両が活躍している。



7. 所属車両所

 現在、415系は、74本296両(内保留車が7本28両)が全国6か所の車両所に配置されている。


JR東日本勝田車両センター(水カツ) K編成

 1500番台が4両編成17本(K527〜K544)所属している。以前は、0番台、100番台、500番台、1500番台と、415系のオールスターがそろっていたが、現在は後期型の1500番台を除いてすべて廃車された。


JR西日本金沢総合車両所(金サワ) C編成

 800番台が3両編成11本(C01〜C11)所属していて、まだ廃車はない。七尾地区の単色化で11編成の内、8編成が茜色に染まっている。


JR九州南福岡車両区(本ミフ) FM編成

 1500番台が13本(FM1501,FM1509〜FM1521)と、保留車の0番台が2編成(FM4,5)の計15本が所属している。2012年3月の改正で、鋼製車はすべて転出か保留車となってしまい、FM4編成が小倉へ廃車回送された。


JR九州小倉車両センター門司港派出(本コラ) FJ編成

 100番台が12本(FJ103,105,106,108,110,111,119〜124,126)と、保留車の0番台(FJ7,8)が2本の計14本が所属している。ここに所属している100番台はすべて更新工事が行われており、オールロングシート化工事が行われている。


JR九州大分運輸センター(分オイ) FO編成

 100番台が7本(FO104,107,109,112,117,118,125)と500番台が2本(FO507,520)、保留車の0番台(FO1,6,9)が3本の計12本が所属している。現在運用についている車両で500番台を除き、セミクロスシート車で構成されている。ほとんどの車両が更新工事を受けているが、FO109編成とFO117編成はシートモケットを除き国鉄仕様のままで活躍している。
 保留車のFO1,6,9はFO1,9については大分運輸センターに引き続き留置されているがFO6は、2012年8月に鹿児島車両センターに疎開回送された。


JR九州鹿児島車両センター(鹿カコ) FK編成

 500番台が5本(FK513〜517)所属している。2007年に、当時鹿児島周辺の通勤電車の役割を果たしていた旧急行型の475、457系を置き換えるために南福岡から転属した。
 運用は、475系から鹿児島地区の運用を移管したため朝夕のラッシュのみと運用規模は小さい。



最後に

 交直流近郊型電車の決定版として製造されましたが、最近は新しい交流型の電車の台頭や交直流電車の新型が投入され、肩身が狭くなってきた415系ですが資本力の小さいJR九州などでは高価な交直流電車を制作をすることは難しく、まだまだを見ることはできそうだ。





 
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