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201系回顧録その1

〜 青くなった貫通編成 〜

社会交通工学科2年 1065番 柴田 吉輝

はじめに・・・

 関東から201系が撤退してはや2年が経とうとしている。唯一解体を免れたクハ201-1の処遇も定まらず、保存への道は開けていない。
 今回は自らの備忘録的な要素として、201系が運行されていた当時を振り返ってみたいと思う。



1.青い201系

 関東地域で運行されていた201系の塗装は主に、中央線のオレンジバーミリオン(朱色1号)、中央総武緩行線のカナリアイエロー(黄色5号)、京葉線のスカイブルー(青22号)の3色であった(四季彩:Tc201-134以下4連を除く)。中でも京葉線では、2000年から2001年にかけて、中央・総武緩行線から試作車を含めた7編成70輌が京葉電車区(現:京葉車両センター)へ転入してきた。このうち4編成(K1+Y51~K4+Y54編成)には、中間連結面に電気連結器を設置した。それまで103系で運行されていた、京葉線の成東・勝浦(上総一ノ宮)行きの分割運用はこれにより201系に置き換えられた。2005年には、山手線からの205系転入により201系試作車(900番台)10輌が廃車となった。これは201系史上初の老朽化による廃車であった(過去に事故による廃車が出ている)。このため京葉線の201系はしばらくの間6編成60輌で運行されていた。
また中央線の201系が日に日に廃車されるようになっても、京葉線では運行されていない日はなく、京葉線を“201系の最後の楽園”と呼ぶ人もいた。
そんな青い201系にも転機が訪れる。2005年に、中央線から201系が転入されてきたのだ。


2.朱色からの転身

 ぞくぞくと廃車回送されてゆく中央線快速の201系の中で廃車を免れ再び運行された編成がある。それがT30編成とT32編成である。もともとは埼京線内での事故による。2007年1月、自動車と衝突炎上し、モハ205-386、モハ204−388が廃車となった。その補填として、京葉車両センターのY21編成に白羽の矢が立った。編成中のMM’ユニットを埼京線の補填用に使用し、残りは武蔵野線への転属を兼ねてVVVF化改造が施されることになった。さらに武蔵野線ではダイヤ改正により必要編成数が増加したため、京葉線のY23をM66編成として転入させ、運行させた。(後にM66編成はVVVF化改造されたY21編成→M36編成に置き換えられ、MM’ユニットとY21編成のサハ2輌を組み換えた後、横浜線へ転属した。現在もH28編成として運行中。)このため、京葉線では、2編成不足が生じた。そのため、中央線快速から、貫通編成2本が転入した。このことにより、京葉線初のサハ201が投入された。またシングルアームパンタグラフ(PS35C)を搭載した京葉線のモハ201も初であった。
 これにより2007年2月にはT32→Y70編成が、3月にはT30(T130)→Y74編成が誕生した。また京葉線の201系は8編成80輌となり、この2編成が廃車される翌年12月までは京葉線内にもっとも201系の所属数が多かった時期となる。
 しかしながら、2008年に京葉線に投入された209系500番台により両編成は廃車となった。



写真1 T30編成




写真2 T32編成



3. Y70、Y74編成について

 両編成とも、京葉線に対応した機器(大型時刻表指しの増設、消火器の交換、緊急通報装置の交換等)の取り付けと、京葉線に所属する201系とM車の位置を合わせるためにサハの連結位置の変更が実施された。


  • Y70編成 Tc201-58以下10連




  • 写真3 Y70編成


    Y70編成はもともとT32編成として、長らく中央線快速で運行されていた編成である。またウインドウォッシャー(前面フロント部の突起状の器具)の試験車として使用されていた。三鷹に新製配置され、京葉線に転属するまでは誕生以来朱色1号であった。


  • Y74編成 Tc201-56以下10連




  • 写真4 Y74編成


    T30編成として、中央線快速で運行されていた。T32編成と同じく、三鷹に新製配置され、転属まで朱色1号であった。



    4.運行範囲

     貫通編成の201系は110km/hには対応しておらず、また分割・併合もできないため、Y71・Y72や110km/h非対応の205系と共に京葉線内(東京~蘇我)間のみ運用に入っていた。後にE331系専属運用となる土休95運用にも入っている姿がみられている。


    5. 最後に

     201系の運行当時の様子を記録することで、今後の資料として役立てたいと思う。今後もこのシリーズが続いて行く予定である。



    6. 参考資料

    鉄道ピクトリアル 2006年4月号“【特集】201系・203系電車”




     
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