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〜 営団07系電車 〜

社会交通工学科1年 鈴木 航




写真1 営団07系電車



1.概要

 営団07系電車は、東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)東西線で運用されている通勤形電車。10両編成6本の計60両が在籍する。
 現在は全編成が東西線で運転されているが、当初の本系列は、有楽町線において1993年(平成5年)3月に実施されるダイヤ改正時の輸送力増強用の新型車両として製造された。その後、7000系と共通で2006年 (平成18年)まで全編成が有楽町線と有楽町線新線(現在の副都心線)で運用されていた。





写真2 有楽町線時代の07系



2.有楽町線時代

 まだ「新線池袋行き」があった時代、有楽町線には東武9000系、9050系、西武6000系、営団7000系、そして営団07系の5車種が走っていた。 東武東上線の地元のダイヤがその頃は「有楽町線→準急→急行」の15分サイクルだった。急行は前の2つに追いつくので、有楽町線を見る機会は多かった。東武線に西武車は信号の都合上来ないので、4車種が来るが、営団7000系の編成数が圧倒的に多かったのでほとんど7000系を見たり乗ったりしていた。東武車の場合は9050系が少ないので、必然的に9000系の方が出くわす機会が多かった。
 07系と9050系はドアチャイムが鳴り、必ず自動放送が流れ(7000系は一部車両だけ流れた)、東上線の地上を走る東武8000系や東武10030系のいわゆる“普通のモーターの音“とは違う”新しいモーターの音“がするため、遭遇すればラッキーぐらいの存在であった。
 私の中では10年近く、東上線の中の”新しい車両“であり続けた。メトロ10000系と東武50000系が来るまでは・・・





写真3 10000系と07系と7000系



 地下鉄副都心線が開業する少し前から、ホームドアについてささやかれた。副都心線(小竹向原-渋谷間)はワンマン運転をするため、ワンマン区間の全駅にホームドアが設置されるというものである。ホームドア設置にあたり問題が発生した。
 それは古い7000系の方ではなく、私の中では新車だった07系の方から出た。座席数が大概の車両は「3・7・7・7・3」となるが、07系は「4・6・7・6・4」と異端者であった。これは従来の車両より運転スペースを広くとり、なおかつ先頭車の全長を長くしないためということであったが、これが仇となった。車両両端のドアが通常より中央寄りに配置されているため、ホームドアに合わない。
 これによって副都心線に入れないことは確実だが、よく考えると副都心線のワンマン区間は小竹向原からである。ということは、小竹向原にもホームドアが設置されるのだ。有楽町線と副都心線のホームが共通なので、当然、小竹向原に停車できない。
 よって、一部の7000系よりも先に有楽町線から撤退することとなった。




3.07系の転属



写真4 千代田線の07系(※写真はイメージです)




 07系は同時期に地下鉄東西線は信号の変更工事をしていた。CS-ATC化の際に、東西線は速度計の周りに指示速度の表示器がない営団5000系を追い出すため、05系を長年にわたり大量に導入していた。できることならさっさと追い出したかったので、07系をもらうことでちょっとした改造だけで新車を作らずに駆逐でき、まかなうことにした。
 さらに同じ頃、地下鉄千代田線では小田急が信号の変更工事をしていた。こちらは装置の付け替えだけで車両を入れ替える必要はなかったが、「改造工事中は車両が足りなくなる」ということで、07系を1編成だけ借りてきた。だが、借りてきたのは07系の第1編成だったので、東西線転属工事が進んでいた。
 東西線の07系はJR中央・総武緩行線のATS-P、東葉高速線のWS-ATC、東西線のCS-ATC(東西線はWS-ATCからCS-ATCに変えた)を搭載、ラインカラーは青になったが、この状態のまま07系を千代田線は借りてきた(千代田線と常磐緩行線はCS-ATC)短期的な貸し出しとなるため小田急への直通のための工事はせず、千代田線用にブレーキの性能などのみ調整して運用に就いた。
 もちろんラインカラーは青のままで。「小田急の青い車両が日頃から千代田線に来ているから、違う形の青い車両が来ても問題ないでしょ」ということ。この貸し出しは3ヶ月ほどで終わった。

 そして今では6編成全ての07系が東西線に転属して、西は三鷹から、東は津田沼、東葉勝田台まで走り回っている。
 有楽町線から撤退する時に胸に刻んだ「顔がとがっているヤツには負けない」という想いを抱き、東西線の朝ラッシュの満員のお客様を乗せ、ライバル05系と闘っている。






写真5 東西線07系



写真:全て著者撮影(一部編集しています)。






 
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