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〜 千葉県 JR総武本線を走る車両 〜

社会交通工学科1年 柴田 響


1. 総武本線

 総武本線は東京から千葉県の銚子までを結ぶ総延長145.4kmの路線である。 「総武線」「総武本線」の2区間の運転系統にわけられていて特急しおさい以外全区間を通して運転する列車は無い。 なお一般的に「総武本線」は千葉〜成東〜銚子の区間をさす名称である。
 総武本線には「普通」「快速」「特急しおさい」3つの種別が走っている。 千葉〜佐倉に限り成田線と重複しているので、さらに「通勤快速」「特急あやめ」「特急成田エクスプレス」 が追加されるが今回は「総武本線 普通列車」に使われる車両の紹介をしたいと思う。



2. 113系

2-1. 113系の基本性能

 113系は、国鉄の新性能方式を採用して1964年に登場した直流近郊型電車。 3つドアでセミクロスシートを装備したその後の近郊型電車の礎を築いた車両である。
 青とクリームの通称“スカ色”をまとった113系は全国でもここだけである。
 昔の普通列車は一部を除いて全て113系で運転され、房総ローカルといえば113系とも言われていたが、2006年10月21日から211系が、 2009年10月1日から209系が導入されたことで廃車が進み、2011年8月現在4両×7本=28両のみになってしまった。
 総武本線では主に「成東シャトル」と呼ばれる日中に千葉〜成東を往復する運用に入ることが多い。 定期運用が9月1日に終了し、2編成にさよならHMがつけられた。 その後、臨時列車がいくつか予定されているが、今年中には全車廃車になるとおもわれる。



写真1 113系 10両(239M大網にて)

 


2-2. 番台区分

 房総の113系には4種類の番台区分があり、外見が少しずつ異なる。



2-2-1. 0番台

 現在房総にはクハ111のみが配属されている。2006年春に東海道線から転属してきたもので、 新製時から冷房搭載、前照灯がシールドビーム(小型ライト)、 側面窓が四角いユニットサッシを使用した後期形タイプが5両(2011年8月現在)運転されている。
 もともと“湘南色”だったこともあってか一部分で塗装がはがれてオレンジ色が見えているものがある。



写真2 0番台クハ(Tc111-242)



2-2-2. 1000番台

 1972年の総武本線東京駅乗り入れにあわせて作られた番台である。 ATCを搭載するために先頭車の乗務員室右側後部の窓が廃止されていて1992年から前面強化工事も行われている。 また1000番台のみタイフォンが下についている。一部車両は冷房準備車として落成された。
 後述する1500番台とともに1999年よりリニューアル工事が行われ、補助電源をMGからSIVへの交換や、シートの交換などを行った。 これらの車両には編成番号にSがつけられ、列車番号表示機がLEDに交換されているなどの特徴もある。 2011年8月現在クハ6両(リニューアル4両)モハ6両(リニューアル4両)の計12両が運転されている。



写真3 1000番台クハ(Tc111-1057)





写真4 1000番台モハ(M112-1261)




2-2-3. 1500番台

 1000番台のクロスシート部の座席間隔と座席の幅を広げた番台。座席に合わせて窓の配置が換わっている。 またタイフォンの位置が上に戻され、トイレ窓が小型化された。なおクハ111-1501〜クハ111-1504はトイレが設置されていない。 リニューアル車がある。
 ヘッドライトとタイフォンの位置が0・2000番台より少し上につけられている。2011年8月現在クハは全廃、 モハは残り2両と少数になっている。



写真5 1500番台クハ(Tc111-1504)





写真6 1500番台モハ(M113-1517)



2-2-4. 2000番台

 113系の最終増備タイプである。0番台を基本にクロスシート部の座席間隔と座席の幅を広げた。 1500番台との差異はATC機器室がなくなったことと、ヘッドライトとタイフォンの位置が微妙に異なること等があげられる。 2000年国府津からクハ111-2146が1両のみ転属され房総地区での運転が開始。その後2006年の転属で増加した。 2011年8月現在クハ3両モハ6両が在籍。残存しているクハは全車千葉よりに連結されている。



写真7 2000番台クハ(Tc111-2046)





写真8 2000番台モハ(M113-2094)



2-3.過去の特徴ある113系

2-3-1.湘南色

 昨今のリバイバルブームで千葉支社でも旧塗装の復活が行われた。2009年6月25日にマリ117編成4両、 2009年9月16日にマリS62編成6両が東海道本線で走っていた湘南色(みかん色)になって運転を開始した。 S62編成は編成中に5両1000番台を組み込んでおり、1000番台の湘南色が初めて登場した。2010年6月と2011年4月に2回、 両編成が連結され10両で運転されたときは全国からファンが集まった。



2-3-2.ちばDCアピールラッピング

 2007年に行われた「ちばデスティネーションキャンペーン」の広告をラッピングした車両が2006年7月23日〜2007年5月17日まで 運転された。編成はマリ112と後に湘南色となるマリ117であった。



写真9 湘南色10両(マリ117+S62編成)





写真10 ちばDCラッピング(マリ112編成)



2-3-3.クハ111-1201

 あまり知られていないが房総にも中間車を先頭車化改造した車両が存在した。 1982年6月27日に外房線の太東〜東浪見を走行中の千葉行が、突然起きた土砂崩れに巻き込まれ脱線。 先頭車だったクハ111-1308が廃車となり、不足した先頭車を補うために同編成2号車のモハ112-1027を大井で改造、 2000番台の前面をくっつけクハ111-1201になった。窓配置が異なったり、 クハなのにモーター点検蓋が残っていたりといろいろ特徴の多い車両だったが老朽化により2001年5月24日に廃車となった。



2-3-4.分散冷房車

 非冷房車として運転されていた車両を冷房化改造することになり、 屋根上の重量を分散することで車体の補強を不要とするAU712形分散式冷房装置を取り付けた。 1988年〜1992年に改造が行われたがもともと車齢の高い車両だったため2006年までに全車が廃車された。



2-4.編成差分

 番台区分での差異のほかに113系には編成での差分も多い。クーラー(AU75)の違いや、 窓・ドア窓・方向幕・戸当たりのゴムの違い(黒ゴム・灰色ゴム・鉄)等があり、 特にゴムについては同じ車両でも場所によって色が異なるので模型などを制作する際には情報集めも必要となってくる。



3. 211系3000番台

 老朽化した113系を置き換えるため、E231系の投入で余剰となった新前橋電車区211系3000 番台を5両×14本=70両を投入。113系6両編成を15本廃車又は4両に短縮化して置き換えた。 大宮工場と下新田留置線で帯の張替え工事が行われた。
 全車セミクロスシートだった房総地区に初めて定期で配属されたロングシート車だったこと、 定員は増えたが6両→5両と減車されたことによる混雑率の増加などいろいろ問題があり、投入後の感想は賛否両論となった。
 半自動ドアスイッチを搭載していたが、 房総地区で思ったより普及しなかったため、後の209系から3/4ドア閉機能に変更されている。
 また9編成が集電能力向上のため、クモハの前側にシングルアームパンタが増設された。 パンタグラフは中央線201系から流用されたPS35Cである。パンタが増設された編成は編成番号が500台に変更された。
 209系の投入により置き換えが予定されており、豊田電車区に転属し115系を置き換える予定である。 豊田の115系は1編成を除いて3両で組まれていること、 シートの交換を行ったのが5両中3両だったことなどから中間2両のサハを廃車し3両で転属されると思われる。
 外房、内房線では10両編成での運転があったが、 総武本線は東千葉や南酒々井などが10両に対応していないため5両編成のみで運転される。
鹿島線は佐原駅の専用ホーム(0番線)に5両が入れないため定期での入線は無い。(過去に1度だけダイヤが乱れたときに入線した)



4. 209系2000番台・2100番台

 113系、211系置き換えのため京浜東北線で使用されていた209系を改造の上投入している。 4両×42本+6両×26本=324両を投入予定。10両だったものを4・6両に短縮、制御機器をGTO-VVVFからIGBT-VVVFに変更、 2号車へのトイレ新設と、行先方向幕のLED化などを行った。
 両先頭車にボックスシートを設置、中間車をロングシートにすることによって「ラッシュ時の輸送力増強」と 「長距離利用者の利便性向上」の2つのニーズに答える形にした。
 また電気連結器を設置することで増解結の時間短縮と作業効率の改善を行った。
 ドア窓や窓が緑色の熱線吸収ガラスに交換されている車両があるが、編成によって交換されている場所が異なる。
 編成番号は4両がC400台、6両がC600台を与えられている。
 総武本線では現在6両の定期運用が無いので、4両又は8両の209系しか入線しない。



写真11 211系3000番台(マリ509編成)





写真12 209系2100番台(マリC626編成)



5.その他

 その他、5335Mと5360Mに特急型のE257系500番台5両編成が、2383Mと2388MにE217系4両が充当される。 前者は、東京〜成東を特急しおさいで運転し、成東〜銚子を普通列車で運転する。特急料金なしで乗車できるのでお得である。 後者は、東京〜佐倉で快速列車の付属4両として運転し、佐倉〜成東を普通列車として運転している。



6.参考文献

 「4号車の5号車寄り」http://tx-style.net/index.php
 画像はすべて筆者撮影





 
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