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社会交通工学科 1年 1136番 宮島 航太 |
1.十和田観光電鉄とは? 青森県東部に位置する十和田市(約7.5万人)と三沢市(約4万人)を結ぶ、小さな地方鉄道が十和田観光電鉄である。 2.十鉄概要 路線距離(営業キロ):14.7km 軌間:1067mm 駅数:11駅(起終点駅含む) 複線区間:なし(全線単線) 電化区間:全線(直流1500V) 閉塞方式:自動閉塞式 3.主力車両 通常の営業運転は7700系と7200系の2形式で行っている。 3−1.7700系 写真1 7700系車両 元東急7700系を2両編成化改造した車輌。元の7700系が1960年代製造の東急7000系から改造されているため、車齢は軒並み50年前後である。VVVF車の譲渡としては日本初であった。写真は十和田側の7900、反対の三沢側が7700である。 3−2.7200系 写真2 7200系車両 元東急7200系を運転台増設、1両編成化改造を行った車輌。閑散時間帯に運転増設された運転台は切妻のいわゆる食パン顔である。写真は元々の運転台側。方向幕の『桜木町』がこの車両の歴史を感じさせる。 4.保存車両 イベントや貸切運転などの特別運用のために一般営業から退いた車輌を保存している。 4−1.モハ3401 写真3 モハ3401系車両 昭和30年(1955年)帝国車輌で製造された十鉄自社発注車。ドア間は18人がけのロングロングシート。吊りかけ車輌で、走行音CD付き85周年記念入場券に収録された車輌の1つ。 4−2.モハ3603 写真4 モハ3603系車両 昭和17年(1942年)川崎車輌にて製造されたクハ3650を電装改造したデハ3650を両運転台改造した上で譲渡された車輌。十鉄では最古参の車輌となる。こちらも吊り掛け車で走行音CDに収録されている。 5.事業用車両 5−1.ED300形 写真5 ED300形車両 昭和26年(1951年)に日立製作所で製造された30t級電気機関車。導入当初は貨物列車や旅客列車の牽引に使用され、下記のED400形が導入された後は十和田市駅構内入替に使用された。貨物輸送が終了した現在は、除雪、工事列車に使用されている。 なお機関車の後ろに写っているのは、7200系の増設された運転台側で、切妻構造ののっぺりした顔がよくわかる。 5−2.ED400形 写真6 ED400形車両 貨物輸送の増加に対応するために昭和37年(1962年)に導入された35t級電気機関車。貨物輸送終了まで主力機として活躍。その後はED300ともども除雪、工事列車に使用されている。 たいていは七百駅留置線に7700系の予備編成をつないだ状態で留置されている。 5−3.トラ300形 写真7 トラ300形車両 上記のED400形と同時に導入された木造二軸無蓋車。国鉄トラ40000とほぼ同型で積載量は17t。農薬散布等の保線作業に使用しているが活躍の機会は殆ど無い。2両在籍しているが七百駅車両区のモハ3603とモハ3401の更に奥に押し込まれている。 6.十鉄の現状 周辺地域の少子化、過疎化に伴って利用者数が減少し続けており、現状維持も厳しい状態である。 写真8 利用を促すポスター 各駅にこのようなポスターが貼られているほどである。また2011.8.18、沿線自治体や学校との協議会において財政支援がなければ廃線もあり得ると発表。十和田観光電鉄だけでなく、各地の私鉄、第三セクターは経営が厳しい所も多く、是非とも地元の鉄道を乗って、守っていってあげてほしい。
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