日大理工鉄研・鉄愛会報 EXPRESS 36

～郵便局巡りのすゝめ～

社会交通工学科 2年　9137番　山﨑耕平

1.郵便局めぐりとは

　郵便局めぐりとは、主に収集目的で消印を押してもらう（記念押印）、貯金をして通帳に局名のスタンプを押してもらうこと（旅行貯金）である。このような郵便関係の物を収集することを「郵便趣味」の略称で「郵趣（ゆうしゅ）」という。決まった定義は無く、人により収集しているものが違う。以下では私が収集している「風景印」と「旅行貯金」を中心に簡単に解説する。

2.風景印

　風景印とは、消印の一種で普通にはがきや手紙を出すときに押されるものではなく、絵柄のある消印である。絵柄は局によって違い、その郵便局近辺の名所・伝統・人物などが絵柄になっている。形状も円形のみならず、その地域の主要な農産物の形など変形した形のものがある。
　風景印は、はがきもしくは50円分以上の切手を貼られたものに限り押印することができる。風景印を押された郵便物はもちろんそのまま出すことはできるが、その郵便物を出さずに持ち帰ることもできる。これを「記念押印」という。
　風景印は任意での配備なので、風景印の無い郵便局も多い。自治体によって配備率に大きな差があり、例えば千葉県において、習志野市は14局全てに風景印が配備されているが、船橋市では44局中僅か3局しか配備されていない。ここでは私が収集した幾つかの風景印を紹介する。

　時計台　　　　　　　　　　　　　　　なまはげ　　　　　　　　　　　　　　　　天草四郎
　

札幌中央（北海道札幌市東区）　　　男鹿（秋田県男鹿市）　　　南有馬（長崎県南島原市）

写真1　名所・伝統・文化が絵柄の風景印

夕張メロン　　　　　　　　　　　　　　　カニ　　　　　　　　　　　　　　　　きのこ
　

夕張本町（北海道夕張市）　紋別大山（北海道紋別市）　中愛別（北海道上川郡愛別町）

写真2　農産物などの形の風景印

　特急スーパーホワイトアロー　　　　東北新幹線車両基地　　　　　山万ユーカリが丘線
　

旭川駅内（北海道旭川市）　　　利府（宮城県宮城郡）　佐倉ユーカリが丘（千葉県佐倉市）

写真3　鉄道に関する絵柄の風景印

3.旅行貯金

　旅行貯金とは前述の通り、郵便局窓口で貯金をして、その際、通帳に局名のスタンプを押してもらうことである。私の場合、1ヶ所当たり100円貯金しているが、制約は無く、1円貯金しても、問題なくスタンプを押してもらえる。風景印と違い、貯金を扱っている郵便局全てで旅行貯金が可能である。貯金を扱っていない郵便局はごくごく一部に限られるため、ほぼ全ての郵便局で旅行貯金が可能である。局名以外に絵柄や文字が入っている「タカラ印」というものもある。ここでは私の旅行貯金を行っている通帳を紹介する。

写真10　旅行貯金を行っている通帳

4.いろいろな郵便局

　全国には約24000の郵便局が存在する。その中にはひと目見ただけでは郵便局とわからないものや以外な施設の中にあるものもある。ここではそれらを紹介する。

写真11　農業試験場前簡易（北海道夕張郡長沼町）

　写真11を見ただろうか、一見するとただの商店に見えるが実はれっきとした郵便局である。このような郵便局を簡易郵便局といい、地方自治体や農協、個人などが委託されて郵便局を営業している。過疎などの理由により郵便局が廃止になる場合に出来る場合が多い。委託者の高齢化と郵政民営化による機器の変更が重なり、民営化前後で簡易郵便局の数が激減したが、最近では新たな委託者を募集しある程度は持ち直してきている。

写真12　万字仲町簡易（北海道岩見沢市）

写真13　ホーム跡

　写真12は万字仲町簡易郵便局である。この建物は1985年まで国鉄万字線の万字駅の駅舎であった。万字線の廃止後、簡易郵便局が移転してきたのである。この局舎の裏には、朽ち果てながらも当時のホームが残っている（写真13）。鉄道廃止後は北海道中央バスが鉄道代替バスを走らせていたが、1日2往復のみで郵便局の営業時間内には一切バスが来なかった。2008年に路線短縮により、バスが廃止された。現在は岩見沢市営バスが運行をするようになり、営業時間内にもバスが来るようになった。

　国の重要な機関の内部にも郵便局は存在する。警察庁、農林水産省、東京高等裁判所、最高裁判所、国会議事堂の中などにある郵便局は一般の利用ができる。入るためには身分証の提示や荷物検査が必要なところもある。

　　　最高裁判所内　　　　　　　　　　　　　国会内　　　　　　　　　　　　　東京高等裁判所内
　

写真14　法的機関の形の風景印

　この3局の風景印はそれぞれの建物となっている。

5．民営化

　郵便局もかつての国鉄民営化のように、分社・民営化された。国鉄民営化が1987年、郵政民営化が2007年と、この20年で地方部ではこの2つの民営化により、鉄道の廃止、郵便局の営業時間短縮や廃止などの大きな打撃をうけた

　しかし、三大都市圏ではどうだろうか、国鉄民営化によって廃止された路線はごく一部の盲腸線のみである。郵便局の営業時間短縮や廃止に関しては首都圏でも少なからずあったが、郵便局密集地帯の間引きも兼ねているところもあり、地方部に比べたら非常に小さい被害に留まっている。

6．最後に

　JRと郵便局の共通点あると思う。民営化されたこと、地方部にも数多く存在する（してた）ことが挙げられる。おそらく他にもあるだろう。
　郵便局に行くために、普段なら降りる機会が無いであろう駅やバス停から、郵便局まで歩く道のりで、その街独自の雰囲気を感じたり、鉄道に関する情報があったりすることもある。
　郵便局をめぐることで悪いことはそんなに無いと思うので、万が一興味を持っていただければいいなと思う。
　あと、脱線しすぎたテーマですいません。

参考資料
郵便局　郵便局局数情報
http://www.jp-network.japanpost.jp/notification/storeinformation/index02.html

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