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〜 京阪電車について 〜

社会交通工学科2年 9015番 今田 真行

 京阪電車は、明治39年11月19日に株式会社として創立し、2010年で100周年を迎えた。現在の営業路線は以下となっている。

表1 京阪の路線一覧
路線区間
本線淀屋橋〜三条
鴨東線三条〜出町柳
中之島線中之島〜天満橋
交野線枚方市〜私市
宇治線中書島〜宇治
鋼索線八幡市〜男山山上
京津線御陵〜浜大津
石山坂本線石山寺〜坂本

 今回は京阪本線で現在在籍中の車両を紹介する。


8000系



写真1 8000系


 平成元年、鴨東線開通に伴う特急車増備用として新造し、以降順次増備して3000系特急車と置き換えた。同車は室内デザインを他車と趣を変え、1両毎に室内カラーリングを変え、異空間を創造し魅力ある車両とした。京阪特急伝統のテレビカーは1編成1両で、自動追尾式BSアンテナを搭載したことで衛星放送が受像可能となった。
 平成9〜10年には、ダブルデッカー車を新造、増結した。
 平成18年7月からは、走行中でもほとんど映像が乱れない地上波デジタル放送に対応となった。

 特急用車両のカラーデザインは、昭和26年から約半世紀にわたり、上半分が黄色(マンダリン・オレンジ)で、下半分が赤色(カーマイン・レッド)の塗装を施した。
 平成20年6月からは、新たな特急色として上部を赤色(エレガント・レッド)、下部を黄色(エレガント・イエロー)とし、赤色と黄色の間に金色(エレガント・ゴールド)の帯を配したカラーデザインに変わり、車内のシートと客室全体もリニューアルされた。



8030系(初代3000系)



写真2 8030系(初代3000系)


 初代3000系は特急列車のサービス改善を図るため、昭和46年から新造した。冷房装置カラーテレビの搭載、室内幅の拡大、優雅なデザインの内装などで居住性を向上させ、性能面では一斉転換式クロスシート、収納式補助いすなど数々の新機軸を搭載された。8000系特急車投入に伴い順次廃車になったが、残った1編成8両は、平成7年と同10年に改修工事を行い、8000系同等の性能・車内設備とした。また、中間車1両については寝屋川工場でダブルデッカー化改造を実施された。
 平成20年6月に、中之島線快速急行用に番号を譲り、新たに8030系へと車番が変更された。




3000系(2代)



写真3 3000系(2代)


 平成20年、中之島線の開業に合わせて快速急行用に新造された。快速急行での移動時間を小旅行気分で快適に過ごしていただくために、1列+2列配置の転換クロスシートとし、通勤車として初めての側窓複層ガラスを採用して快適で静かな車内を目指した。外部塗色には、紺色(エレガントブルー)にシルバーの帯を採用し、デザイン面においては、月をチーフとしてフロントフェイスや車内に円弧状の造形を多く取り入れ、これまでの車両にない斬新なものとしている。
 2009年に鉄道友の会から「ローレル賞」を、財団法人日本産業デザイン振興よりグットデザイン賞をそれぞれ受賞した。



10000系



写真4 10000系


 1900系、2600系の代替用として平成14年に新造した車両で「魅力ある京阪電車」をアピールする車両である。7200系をベースにしているが、外部塗色は45年ぶりにターコイズグリーンに変更し、バリアフリーや環境面への配慮とさらなる快適性と安全性の向上を追求し、製作コストを押さえるための大幅な設計見直しも行ったのである。
 平成19年9月には交野線(枚方市ー私市:6.9km)のワンマン運転に対応するため、ホーム検知装置と自動放送装置が搭載された。



9000系



写真5 9000系


 輸送力増強、混雑率緩和を目的として、平成9年に新造した車両である。基本的には7200系と同仕様とし、朝ラッシュ時間帯の特急列車として運用するため、初めて3扉セミクロスシートの座席配置を採用された。塗色も濃淡グリーンの間にパステテルブルーのラインを入れて一般車両と識別した。
 平成22年の中之島線開業に合わせて3扉セミクロスシートの3000系(2代目)を投入したためバケットタイプのオールロングシートへ改造するとともに、半世紀ぶりとなる全車両のカラーデザインを更新したため、一般車両の塗色に変更したのである。



7200系



写真6 7200系


 輸送力増強のため平成7年に新造された。7000系をベースに種々改良を加えた車両である。「お客様に優しい電車を目指す」と言う点に主眼を置いて、車内案内表示器、通話型非常通報装置、誘導鈴等の新設や座り心地のよいシート、車内カラーリングの一新、急速暖房の採用など各種改良を行った車両である。



7000系



写真7 7000系


 平成元年から新造した車両で、省エネ・省力化電車である。車体は基本的に6000系を踏襲し快適性を継承したが、乗務員室構造を見直した関係で正面見付けが変化した。



6000系



写真8 6000系


 電車線昇圧に際し、昇圧改造対応できなかった旧性能車の代替として昭和58年から新造した車両で、快適性と省エネルギーを開発コンセプトとしたのである。
 1984年に鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞。



5000系



写真9 5000系


 昭和45年から新造した朝ラッシュ時の混雑緩和、特に乗降時間の短縮を目的としたユニークな5扉電車である。閑散時間帯は2扉を閉め切り、格納していた座席を戻して座席定員を増やすと言う離れ業を可能としたのである。
 平成9年から内装の一新、バリアフリー化など車体改修工事が実施された。



2600系



写真10 2600系


 2000系「スーパーカー」の代替として昭和52年から新造した車両で、4両〜8両編成に対応できる自由度の高い車系である。このうち5両編成1本は京阪ミュージアムトレイン*に改造され、塗色を、昭和2年に日本最初の「ロマスカー」としてデビューし人気を集めた、転換クロスシートの豪華車両1550型の塗装をイメージしたモスグリーンとなっていた。
 昭和55〜56年には増備及び1800系の代替として2630番代(画像11)車両28両を新造された。
 *京阪ミュージアムトレインとは、駅に留め置いた電車内で京阪電車の歴史解説や部品、模型、オリジナルグッズ等を展示する車両。



2400系



写真11 2400系


 2200系の増備用として昭和44〜45年新造した戦後関西初の通勤冷房車で、性能的には2200系と同じであるが、屋上に小型ユニットクーラーを8台賑やかに搭載しているのが特徴である。
 昭和63年から平成2年にかけて、内装のリニューアルなどの車体改修工事を実施された。



2200系



写真12 2200系


 各停用の2000系「スーパーカー」に続いて、昭和39年から新造した急行用車両で、車体は2000系のものを踏襲したが、先頭部にスカートを初めて取り付けたのである。
 昭和59年から63年にかけて車体改修工事を行なわれた。



1000系



写真13 1000系


 電圧の1500V昇圧に備え、700系の代替として昭和52年から新造した車両である。性能的には5000系と同等とした。
 平成3〜7年にかけて車体改修工事を実施された。




その他の車両
鋼索線 1・2号(2代)
構内入替車
大津線
800系(京津線・京都市営地下鉄東西線直通用)
700形(石山坂本線用)
600形(石山坂本線用)



参考文献

「細密イラストで見る京阪電車車両の100周年」 京阪電気鉄道株式会社
「くらしのなかの京阪」2010年8月号 京阪電気鉄道
「京阪車両資料館・京阪電車の車両紹介」http://www.keihan.co.jp/syaryo/shoukai/index.html


 
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