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2.車両

当初は京急と京成のみでしたが、現在はそれに加え、北総鉄道(以前の北総開発鉄道)、千葉ニュータウン鉄道(以前の住宅都市整備公団)、芝山鉄道に自社をあわせて7社が同一の線路上を走っていることになります。それ故、浅草線は『車両のデパート』とも呼ばれています。



〜京浜急行電鉄〜

1000形
都営浅草線との直通規格車として1959年から1978年までの19年間に356両が製造されました。1968年から都営浅草線との乗り入れを開始、2007年現在も京急の各路線および乗り入れ先の都営浅草線・京成線・北総鉄道の各線にわたり運用されています。(ただし、浅草線方面の直通はラッシュ時のみ)
長期にわたって京急を代表する通勤車両として利用客や鉄道ファンから親しまれてきましたが、経年による老朽化の進行に伴い、新1000形などによる置き換えが進んでいます。特に比較的製造年度の古い冷房改造車(白幕車)は既に全車が廃車済みで、現在は比較的新しい冷房新造車(黒幕車)のみ残存しています。
制御方式は出力75kWまたは90kWのモーターの電動カム軸抵抗制御方式で、発電ブレーキを備えた電磁直通ブレーキを採用しています。座席はオールロングシート。客用ドアは相互乗り入れを行う都営地下鉄浅草線および京成電鉄の車両と位置をあわせるため、片側3箇所としました。 また、この頃の通勤型電車の側面窓は一部の会社を除き、上段と下段の高さがほぼ同じ二段上昇式を使用していましたが、当形は窓の大きさや屋根の薄さの関係か、旧性能車時代に各社でよく使われていた上段固定下段上昇式(上段より下段が大きい)となっています。
設計最高速度は120km/hであるが、非常増圧ブレーキを装備していないため営業運転では110km/hまでとなっています。起動加速度は3.5km/h/s、常用減速度は4.0km/h/sと比較的高い加減速性能となっており、弱め界磁制御を広範囲で使用し、歯車比も77:14(5.5)もしくは88:19(4.63)と都営地下鉄や京成の車両に比べて高速向きであるため、高速性能も他社局車両よりも優れています。


写真1:浅草線直通1000形定期運用のひとつ81SHに充当されている1267F。 杉田−屏風浦 にて




1500形
旧1000形の老朽取り替えを目的に、第2世代の都営浅草線・京成電鉄・北総鉄道への乗り入れ車両として1984年から製造が開始されまし。 京成3600形とほぼ同時期に製造されており、界磁チョッパ制御、ワンハンドルマスコンかつ電気指令式ブレーキ、静止型インバータ(SIV)を採用する点は同じですが、京成3600形は、分散式冷房装置を採用している点が異なります。1984年・1985年度に製造された20両は車体の材質が普通鋼製となっており、雨樋が従来のタイプなので、前面が丸みを帯びています。登場当時は戸袋窓がありましたが、後で説明する更新工事の時に塞がれました。
1987年度製の車両からは車体の材質がアルミ合金製となりました。この車両からオールシーズン対応の空調制御システムが導入されました。1989年からほとんどの6両編成にサハ1900形2両を増結し、8両編成化して他社局線へ乗り入れを開始しました。1990年8月には京急初のVVVFインバータ制御車両である1700番台が登場した。この車両には製造当初から前面にスカートが装着されています。 1700番台の第2編成(1707F)からは座席がバケットシートタイプになりました。

1500形で特筆すべき事項は2001年度から車体・車内の傷みが激しくなってきたため、鋼製車で行なわれた更新工事です。最初に更新されたのは1517Fで翌2002年度にはアルミ車の更新工事も始まりました。主な内容はスカートの設置、座席のバケットタイプへの交換(アルミ車は片持式だが更新車は片持式でない)、ドアチャイムの設置などが上げられ、鋼製車はこれに加え戸袋窓の埋め込みが行われました。更新したことにより当初からスカートを装備していた1700番代と一見区別がつかなくなりましたが、連結器部分の切り欠きの形状により見分ける事が出来ます(1700番代は角が丸く、更新車は角張っている)。
現在8連、6連、4連が存在し普通から快特まで幅広く運用されている車両です。



写真2:日中の快特に充当されるアルミ製の1631F。 仲木戸−神奈川 にて



 
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