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2006年夏合宿 北陸新幹線建設現場見学報告

物理学科 3年 斎藤 真太郎

1 合宿の概要
1.1 日程

2006年9月20日〜9月22日

1.2 行程

9月20日(1日目)
18:30高岡駅集合


9月21日(2日目)
10:00〜4台のレンタカーに分乗し黒部まで移動
13:30〜16:30北陸新幹線建設現場見学
19:00金沢駅集合
20:00〜21:50飲み会


9月22日(3日目)
解散


1.3 参加人数

1年生1名、2年生名、3年生名、4年生名、OB1名


2 北陸新幹線について

 北陸新幹線は、上越新幹線の高崎から、北陸地方の各都市を経由して大阪に至る整備新幹線(注1)である。全国新幹線鉄道整備法の制定により1973年に整備計画が決定するが、オイルショックや国鉄の財政状況の悪化の影響で建設が凍結されてしまう。
 そして1987年に整備新幹線の建設凍結解除が閣議決定されたことを受け、1989年に高崎〜軽井沢間、1991年に軽井沢〜長野間、1992年に石動〜金沢間、さらに1993年には糸魚川〜魚津間と相次いで着工。1997年には整備新幹線の先陣を切って高崎〜長野間が開業した。その後紆余曲折を経て金沢までの一括整備を行う方針が固まり、現在は長野〜金沢〜白山車両基地間を建設中である。
 工事中の区間のうち、当初スーパー特急方式(注2)で着工した糸魚川〜魚津間および石動〜金沢間についてはほぼ路盤が完成し、現在は残る区間とともに新幹線規格(フル規格)での整備が進められている。トンネルの総延長は約半数で整備新幹線の中では少ないものの、飯山トンネルは22.225kmで、完成すると山岳トンネルでは日本でも有数の長さとなる。途中には飯山、上越(仮称)、糸魚川、新黒部(仮称)、富山、新高岡(仮称)の各駅が設けられる予定である。金沢駅周辺は1990年に北陸本線が高架化され、現在は新幹線の路盤もほぼ完成している。
 金沢までは2014年度に開業する予定で、営業主体は長野〜上越間がJR東日本、上越〜金沢間がJR西日本である。現在は東京〜金沢間は上越新幹線「とき」と特急「はくたか」を利用した場合約3時間50分かかるが、北陸新幹線が完成すると約2時間30分で結ばれ、大幅な時間短縮となる。

(注1)整備新幹線
 整備新幹線とは全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備計画が定められた新幹線のことで、北海道新幹線、東北新幹線盛岡以北、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルートおよび長崎ルートの5線を指す。このうち東北新幹線盛岡〜八戸間、北陸新幹線(長野新幹線)高崎〜長野間、九州新幹線新八代〜鹿児島中央間はすでに開業している。現在は北海道新幹線新青森〜新函館間、東北新幹線八戸〜新青森間、北陸新幹線長野〜金沢(〜白山車両基地)間、九州新幹線博多〜新八代間の建設が進められている。

(注2)スーパー特急方式
 建設コストを削減するため、路盤、トンネル、高架橋などの構造物はフル規格で建設し、軌道は在来線のものを建設して全線が開通するまでは在来線規格の車両を走らせる方式。スーパー特急方式で着工したものの、あとからフル規格に格上げされるケースが多く、今のところスーパー特急方式で開業した区間はない。ただし青函トンネルと瀬戸大橋については整備新幹線に基づいて建設されたわけではないものの、新幹線規格で建設され在来線として開業しており、実質的にはスーパー特急方式といえる。


3 主な見学内容
3.1 黒部川橋梁

 黒部川は北アルプスを源として日本海へ注ぐ河川である。北陸新幹線の黒部川橋梁は黒部市と入善町の境にあり、高崎起点で250kmのところにある。
 この橋梁の最大の特徴は、波形鋼板ウェブPC橋と呼ばれるタイプを鉄道橋として初めて採用した点である。波形鋼板ウェブPC橋は、ウェブに従来のコンクリートに代えて軽量な波形鋼板を用いた複合構造を持ち、主桁自重が軽減され、施工の省力化と同時に工期短縮やコスト軽減を図ることができるPC橋である。工事は黒部川の出水期・渇水期で制限され、工期は3年を要した。これも波形鋼板ウェブの採用により本来4年のものを短縮したのである。
 写真1は、土手から見た黒部川橋梁の全体の様子である。橋梁の全長は759m、16橋脚15径間であり、このうち波形鋼板ウェブPC橋を用いているのは中央部の344m、6径間である。写真からもわかるように中央部の構造が異なっており、ここが波形鋼板ウェブPC橋になっている。写真2は金沢方面へ続く高架橋の様子で、この先に新黒部駅の建設現場がある。




写真1  2006.9.21 黒部川橋梁



写真2  2006.9.21 黒部川橋梁






 
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