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路面電車のはなし
社会交通2年 清水 駿太


【第一章】路面電車の登場

 一体、路面電車はどのように誕生したのでしょうか?そんな疑問にお答えするために、路面電車の起源までさかのぼることにしましょう。
 路面電車の歴史ははるか昔、中世までさかのぼります。ヨーロッパの王族・貴族が使っていた交通機関、皆さんご存知の馬車です。この馬車が路面電車の起源なのです。その後、都市が近代化して乗合馬車が登場し、一般庶民が気軽に利用できる乗り物になりました。道路もレンガや石畳で舗装されて走りやすくなりましたが、それでも2〜4頭の馬が必要でした。そこで、少ない馬で馬車を引けるように開発されたのが鉄道馬車です。走行抵抗が小さいのでわずか1頭で引けるようになり、世界中の街に線路が張り巡らされました。中には2階建ての車両も登場したといいます。
 しかし、馬は不衛生で伝染病の原因になると言われていたため、馬に変わる動力を開発する必要がありました。そこで登場したのが、蒸気機関を使った「スチームトラム」やガス灯からガスを補給しながら走る「ガストラム」です。しかし、「スチームトラム」は煙が問題となり、「ガストラム」は馬力がなさすぎたため、さらなる新技術の開発が望まれました。
 そして、路面交通の決定版として登場したのが、電気を動力にした路面電車です。1870年にジーメンスが世界で初めて電気機関車を開発し、その技術を使って1888年に路面電車が開発されました。その技術はすぐに日本へ上陸し、1890年には上野で開かれた第3回勧業博覧会で運転されました。そして1895年(明治28年)1月31日に京都に日本初の路面電車が開業しました。そして、路面電車は日本全国へと広まっていったのです。


↑創業時の路面電車


 また、サンフランシスコやオーストラリアのメルボルンなど坂の多い都市ではケーブルカーも開発されました。これは2つの車両が交互に往復する普通のケーブルカーとは違う「循環式」と呼ばれるものです。ケーブルが常に一定方向で循環しており、車両はケーブルをつかんだり離したりできる構造になっていて、ケーブルの動きとは関係なく好きなところで止まれるようになっています。坂の多い大都市では時々見られましたが、現在では観光用としてサンフランシスコに残るのみとなっています。


↑リスボンにも路面を走るケーブルカーが存在する


 
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