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〜 列島縦断10000キロ 最長片道切符の旅 〜

社会交通工学科2年 1090番 堂崎 達也

1.はじめに

 最長片道切符とは、「JRの路線のみを使う」、「同じ駅を2度通らない」、「最も長い距離を行く」切符のことをいう。現在、JR の路線は約20,000km。日本中に網の目のように張り巡らされた路線の中から最長ルートを自ら求めることは困難であるため、今回の旅行のルートは、2004年放送のNHKの番組「列島縦断 鉄道12000q〜最長片道切符の旅〜」のルートをもとに、災害により不通となっている区間や新しく開業した路線を考慮して決定した(これが本当に最長ルートとは限らない)。今回の切符は、北海道の稚内駅から佐賀県の肥前山口駅までを旅行するルートで、料金は69,380円(学割)。有効期間は56日間である。



写真1 今回使用した切符の一部



2.出発まで

 今回の旅行の出発点は北海道・宗谷本線の稚内駅。したがって、まずは稚内まで移動しなければならないのだが、これが結構大変だ。8月7日、東京発17時56分の新幹線で出発し、青森からは急行「はまなす」に乗車。翌朝(8月8日)、札幌で稚内行きの特急に乗り換えて稚内に到着したのは12時47分。19時間弱(駅での待ち時間も含む)かかり、ようやくスタート地点に立った。



3.北海道編

【稚内→新旭川→網走→釧路→新得→富良野→旭川→岩見沢→沼ノ端→札幌→小樽→長万部→森→(砂原回り)→大沼→五稜郭→】

 8月9日。日本最北端の駅、稚内駅から宗谷本線で新旭川まで南下。ここで乗り換えて網走へ向かう。大雪山国立公園の層雲峡(上川駅)、世界自然遺産の知床(知床斜里駅)などを訪ねながら道東を一周して旭川駅へ。新旭川駅から旭川駅までは2駅(3.7q)であるが、最長ルートでは711.7qと200倍近く遠回りをする。このような遠回りを繰り返しながら、ゴールを目指す。札幌からは石狩湾を眺めながら小樽へ向かう。余市を過ぎると海から離れ、羊蹄山やニセコアンヌプリを眺めながら山の中を走る。ニセコアンヌプリとはアイヌの言葉で、「絶壁に向かってある山」という意味。長万部駅からは内浦湾沿いに南下し、森駅で駒ケ岳を迂回する列車に乗り換えて大沼へ。5日目の夕方には五稜郭駅に到着。五稜郭タワーから函館の街と津軽海峡の夕日を眺める。この日で北海道の旅を終えて本州へ。津軽海峡線、東北新幹線で盛岡へ向かう。



4.東北・信越編

【→青森→新青森→新花巻→花巻→北上→横手→秋田→坂町→米沢→新庄→古川→一ノ関→小牛田→仙台→福島→郡山→会津若松→新津→長岡→新潟→吉田→柏崎→宮内→越後川口→豊野→直江津→糸魚川→松本→長野→高崎→越後湯沢→新前橋→小山→安積永盛→水戸→】

 稚内駅を出発して6日目。この日は最長ルートからはずれて、バスで岩手県の龍泉洞へ。その後、津波の被害を受けた三陸の田老地区を訪ねた。夕方、盛岡駅に戻り、再び最長ルートへ。東北新幹線で新花巻へ行き、釜石線、東北本線と乗り継いで北上駅へ。北上線で横手へ向かう途中、ほっとゆだ駅で下車して駅に併設されている温泉に立ち寄った。秋田からは羽越本線で日本海沿いに坂町まで南下する。天気が良ければ夕日がきれいに見える区間だが、この日は雲が多く夕日を見ることはできなかった。米沢からは奥羽本線で山形県内陸を北上する。新庄から陸羽東線、東北新幹線で一ノ関へ。東北本線を郡山まで南下し、磐越西線で新津へ向かう。途中の磐梯熱海駅で大雨の為に運休となってしまい、会津若松駅までは代行バスでの移動となった。当初は会津若松からSLに乗車する予定であったが列車が遅れたために間に合わず、普通列車で新津へ。喜多方を過ぎた頃には日が沈んでしまい、車窓を楽しむことはできなかった。翌日は新潟県内を行ったり来たり。越後川口駅で下車し、近くの食堂で昼食をとる。ちょうど、テレビで高校野球が放送されていた。ついつい見入ってしまい、気付けば発車10分前。大急ぎで駅に戻る。飯山線で豊野へ行き、信越本線に乗り換えて直江津へ。北陸本線で糸魚川へ向かう途中、日本海の夕日がきれいに見えた。糸魚川からは大糸線に乗車し、松本を目指す。白馬からは大勢の登山客が乗車し、私の隣には年配のご夫婦が座った。話かけてみると、毎年この時期には二人で登山を楽しんでいるとのこと。「去年は南アルプスに登った」と聞いて、自分が去年、南アルプスの山小屋で働いていたことを話す。すると、二人はその山小屋にも泊まったという。残念ながらお互いに覚えてはいなかったが、これがきっかけで話がはずみ、あっという間に時間が過ぎた。降りる予定の穂高駅に到着し「病気に気をつけて、楽しんでくださいね。若い頃の経験は一生の宝物です。」と言葉をいただき、このご夫婦と別れた。松本からは篠ノ井線で長野へ向かう。長野新幹線、上越新幹線と乗り継いで越後湯沢へ。新潟県に一歩入り、すぐに上越線で再び群馬県へ。新前橋から両毛線、東北本線と乗り継いで福島県の安積永盛へ。水郡線で水戸へ向かう。途中の袋田駅で下車し、日本三大名瀑の袋田の滝を訪ねる。「今年は水量が少ない」と地元の人が教えてくれたが、それでも迫力のある滝だった。水戸駅で常磐線に乗り換え、いよいよ首都圏に入る。



5.首都圏・富士山編

【→新松戸→南浦和→赤羽→池袋→秋葉原→千葉→成田→松岸→成東→大網→安房鴨川→蘇我→東京→西国分寺→武蔵浦和→大宮→倉賀野→高麗川→拝島→立川→武蔵小杉→品川→川崎→尻手→浜川崎→鶴見→横浜→根岸→大船→国府津→御殿場→沼津→富士→甲府→八王子→新横浜→】

 最長ルートを旅行するうえで最もややこしい首都圏。うっかりルートを間違えそうになる。細かく乗り継がなければならないため、息をつく暇もない。居眠りをしようものなら間違いなく乗り過ごす。眠気と闘いながら東京近郊をまわる。大船駅から東海道本線に乗車し、ようやくここで一息。国府津から御殿場線、東海道本線、身延線、中央本線と乗り継いで富士山を一周する。八王子で横浜線に乗り換えて、新横浜へ向かう。途中の相模原で下車し、自宅に寄った。リュックの中身を整理し、着替えを詰め込む。旅行開始から15日目。さすがに疲れてきた。「ぼけっとしてると切符をなくすぞ」と、親に喝を入れられた。再び横浜線に乗車して新横浜へ。ここから新幹線で一気に豊橋まで行く。





 
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