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〜 四国の臨時駅 訪問記 〜

土木工学専攻OB(2009年修了) 那須 広孝
社会交通工学科OB(2011年卒業) 長谷川 浩

1. 概要

 「駅」というのは、旅客が列車に乗降するため、および貨物の積み下ろしのために設けられる 鉄道施設である。すなわち、列車の旅客を乗降させるには、そのための駅がなくてはならない。

 一般的に、駅は常設されており、列車が運行されている時間帯は駅も営業している(=常設駅)。
 一方、違う見方をすると、旅客の乗降が必要ない場合は、駅の営業をしなくて良いという解釈が できる。旅客の乗降が必要な時にだけ、特定の季節や日時に限って営業する駅が、「臨時駅」である。
 日本国内には2012年現在で、一般的な常設駅の他に、JR・民鉄等を含め、全19駅の臨時駅がある。 時刻表などでは、「(臨)」という表記がされているか、または表記すらされない駅である。

 そのうち、営業期間内に訪れるのが非常に難しい臨時駅が、JR四国管内に2駅ある。田井ノ浜駅と 津島ノ宮駅である。
 今回、休みを利用して駅を訪れたので、それぞれ両駅の詳細について、旅行の日程なども 交えつつ紹介する。なお、田井ノ浜駅を長谷川が、津島ノ宮駅を那須が記す。




2. 四国入りするまでの前日程 [記:長谷川]

 旅の日程としては、8/3(金)夜 〜8/4(土)であった。
 3日の21時40分、新宿駅新南口(代々木)のJR高速バス乗り場より、「ドリーム徳島号」に 乗車した。



写真1 ドリーム徳島号(室津PAにて)


 21時50分、ドリーム徳島号は新宿駅を定刻に出発。途中、

 甲州街道 → 山手通り → 東名高速道路(足柄SAで休憩) → 新東名高速道路
→ 東名高速道路 →(三ヶ日IC)→ 東名高速道路 → 伊勢湾岸道路 → 新名神高速道路
→ 名神高速道路 → 中国自動車道 → 山陽自動車道 → 神戸淡路鳴門自動車道
(室津PAで休憩)→ 徳島駅

という経路であった。

 ここで特筆しておきたいのが、開通して間もない新東名高速道路を通った点である。
 JRバスは、必ず三ヶ日IC(東名高速道路)で乗務員交代を行なうことになっている。 そのため、新東名高速道路を出た後、一旦、東名高速道路を上り東京方面へ向かって走行し、 わざわざ三ヶ日ICで折り返し、来た道を再び名古屋方面へ向かうという荒技(!?)を行なっているのである。

 そしてバスは、ほぼ定刻で徳島駅に到着した。





3.(臨)田井ノ浜駅 [記:長谷川]



写真2 「田井ノ浜」駅名標


バスで徳島駅に到着後、高徳線の「学」駅を訪れて時間を潰した後、阿波川島駅より、 特急「むろと1号」に乗車し、田井ノ浜駅に向かった。

   

     写真3 学駅                   写真4 特急「むろと1号」



 田井ノ浜駅は、隣接する田井ノ浜海水浴場の海開きに合わせて営業される、夏季限定の 臨時駅である。(2012年の営業日は、7/21〜8/12であった。)
 場所は、牟岐線の由岐駅と木岐駅の間にある。尚、由岐駅からは、1kmほどしか離れておらず、 営業日以外でも、県道を徒歩15〜20分程歩けば到達できる。

 この駅は無人駅であり、改札口どころか、屋根や駅舎もない。駅の大きな特徴としては、 駅のすぐ横が砂浜になっている点である。日本にある駅で最もビーチに近い駅である。ホームと 砂浜は繋がっており、ホーム横には簡易シャワー(ホースをつなげたもの)と、灯台のような 形をした監視小屋もある。



写真5 海水浴場と直結するプラットホーム


 列車は、特急の1往復も含め、午前に下り(牟岐方面)、午後に上り(徳島方面)、 上下3本ずつの列車が臨時停車する。当該列車以外、および営業日以外は、普通列車も含めた 全ての列車が通過する。



写真6 田井ノ浜駅 臨時時刻表






写真7 臨時停車する普通列車


 地元の人でないと、訪れるのはなかなか難しい場所である。しかし、熱海や江ノ島といった リゾート地の海とは違い、とても穏やかな雰囲気の場所にある海であり、まさに秘境ビーチ とも言えるだろう。

 駅も海も楽しめる。こんな場所に、是非とも一度は足を運んではいかがだろうか?



写真8 田井ノ浜駅
  (※敷地外から撮影)


 
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