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〜 Bトレインショーティーについて 〜

社会交通工学科2年 0152番 山崎 大侍


1.はじめに

 Bトレインショーティー(通称:Bトレ、以下Bトレと表記)は、株式会社バンダイより発売されている鉄道車両プラモデルである。 2002年の発売開始から9年が経ち、通勤電車から始まったラインナップは、今では特急電車、新幹線、機関車、路面電車など 多岐に渡っている。今回は、そんなBトレについて記述したいと思う。




写真1 Bトレの様々なラインナップ (一例)



2.Bトレの特徴

a. 車両の長さがおよそ半分
 Bトレ最大の特徴は、何といってもその車体長であろう。Bトレは、通常の鉄道模型でいうNゲージと同じスケール(1/150)を採用 しているが、車体の長さは通常の半分程度にデフォルメされている。つまり、Bトレ2両分で鉄道模型1両分の長さになるのである。 1両の大きさは、ちょうど手のひらにちょこんと乗るくらいの、何ともかわいらしいサイズとなっている。




写真2 鉄道模型とBトレの車体長の比較



b. 簡単に組み立てられる
 Bトレは組み立て式の鉄道模型であるが、組み立てるのに特殊な工具や接着剤は必要なく、パーツ同士をはめ合わせるだけで簡単に 組み上げることができる。また、パーツは彩色済みとなっているため、面倒な塗装作業をすることなく気軽に車両の製作を楽しむ ことが可能となっている。形式によってはサービスパーツが付属し、より多くの仕様に作り分けることができるようになっている。




写真3 キットの内容物 (1両分)



c. 動力組み込みにも対応
 通常の鉄道模型とは異なり、Bトレではプラスチック製の転がし車輪を採用しているため、レールがなくても手で転がして遊んだり、 簡単にディスプレイを楽しんだりすることが可能である。一方、別売りの動力ユニットを組み込めば、Nゲージの線路でも走らせること ができるため、小さい子供だけでなく大人でも一緒に楽しむことができる。

d. 鉄道模型に引けを取らないディティールの細かさ
 ここまでだと「長さ方向がデフォルメされた鉄道車両プラモデル」という感のあるBトレだが、組み立て式のプラモデルにしては細部の 造形や特徴までもがしっかりと捉えられており、実車の雰囲気を十二分に楽しむことができる。それだけでなく、パンタグラフなど各部の パーツをNゲージ用のものに取り替えることによって、さらなるディティールアップも可能となっている。




写真4 鉄道模型とBトレのディティールの比較



3.Bトレのラインナップ形態

 販売開始以降、Bトレは、ブラインドパッケージでの販売やセット販売、社局・店舗限定販売など、多様な形態で販売されてきた。その 種類には以下のようなものがある。また、ここではBトレの一部関連製品についても述べたいと思う。なお、以下で紹介するラインナップの 中には、現在は入手困難あるいは不可能となっているものも多数含まれていることをお断りしておく。


a. ブラインドパッケージでの販売
 開封するまで中身の分からないクローズドボックスで販売されたシリーズで、一般販売のシリーズが5種類、社局・店舗限定販売のシリーズ が計3種類存在した。一部製品にはシークレットも存在した。

@通常シリーズ
 2002年から2006年にかけて、パート1からパート16までが販売され、通勤電車・気動車・特急列車・客車・貨物列車など、幅広い種類の車両が ラインナップされた。このシリーズで販売された車両の中には、近年一般販売のセット品として再販されているものも数多く存在する。

A新・通常シリーズ
 2007年以降、下回りのパーツをリニューアルし、それまでの通常シリーズを引き継ぐような形で販売されているシリーズである。2008年に 新パート2が登場したのを最後に、その続編となるパートは未だ発売されていない。

Bベストリピートシリーズ
 2003年以降、通常シリーズや新・通常シリーズと並行して販売されているシリーズで、ラインナップは主に通常パートなどの色違いやバリエー ションとなるものによって構成されている。2011年8月現在までにパート1からパート12までが発売されている。




写真5 左から通常シリーズ、新・通常シリーズ、ベストリピートシリーズの外箱



C路面電車シリーズ
 2004年から2006年にかけて、パート1からパート3までが販売された、路面電車のみをラインナップしたシリーズである。

DD51型蒸気機関車
 2008年に発売された、D51型蒸気機関車のみをラインナップしたシリーズである。車両の構造上、動力を組み込むのが非常に難しく、手転がしも 自由にできないため、ディスプレイを楽しむことを主目的としたシリーズであると言える。




写真6 左から路面電車シリーズ、D51シリーズの外箱



EKIOSK特別編シリーズ
 2003年以降、JR東日本管内のKIOSK、NEWDAYS、えきねっと限定で販売されているシリーズで、2011年8月現在までにパート1からパート6までが登場 している。当然JR東日本の車両に特化したラインナップであるが、一般販売の車両に比べて、さらに地域色の濃い、あるいは希少性の高い車両が 揃っているのが特徴である。発売元は株式会社JR東日本リテールネット。

FJR西日本スペシャルシリーズ
 2004年以降、JR西日本管内の主要駅売店、トレインボックス限定で販売されているシリーズで、2011年8月現在までにパート1からパート4までが 登場している。その名の通り、JR西日本の車両に特化しており、東日本同様、地域性、希少性に富む車両がラインナップされている。発売元は ジェイアール西日本商事(株)。

Gセブン-イレブン特別編
 セブン-イレブン開店30周年を記念して、2004年にセブン-イレブン限定で販売されたシリーズであり、ラインナップは、セブン-イレブンが開業 した昭和40年ごろの車両を再現したものとなった。




写真7 左からKIOSK特別編、JR西日本スペシャル、セブン-イレブン特別編の外箱



b. セット販売
 Bトレが初めて発売された当初、国鉄・JRの車両は、先述したブラインドパッケージでの販売が主流であった。中身の分かる形で手に入れられる車両 といえば、社局・店舗限定で販売された製品しかなく、好みの車両を確実に入手するのは、大変難しいことだった。また、各地で主力として走っていて 人気の高かった車両が比較的初期の通常パート等でラインナップされてしまったため、後々Bトレに興味を持ってコレクションしたいと思ったファンが 好きな車両を思うように手に入れられないという現実があった。
 こうした状況を打開すべく、2004年ごろから、過去に発売された通常パート等でラインナップされた車両を、編成単位のセットにして、一般流通品と して再販するようになった。こうして始まった「セット販売」の動きは急速に広まり、ブラインドパッケージでは製品化されていなかった新たな車種を ラインナップに加えながら、Bトレの新たな定番へと成長していった。現在では、ブラインドパッケージでの販売は、ほとんど地域限定のシリーズに 絞られ、一般流通の方ではセット販売が主流になってきている。
 その一方で、社局・店舗を限定してセット販売を行うケースは現在でも数多く存在し、その土地でしか購入できないというプレミア感が損なわれたと いうことは決してないといえる。もし、旅先で乗った私鉄などで限定のBトレが販売されていれば、Bトレファンとしては大変うれしいお土産になること 請け合いである。
 ちなみに、2002年にBトレ史上初めて発売された車両は、江ノ島電鉄300形と500形(初代)で、それぞれ先頭車同士の2両セットあった。




写真8 セット販売品の例 (201系スカイブルー)




写真9 社局限定車両の例 (名古屋市交通局桜通線6050形)



c. エクスプレスシリーズ
 通常版初期のBトレにおいて、通勤・近郊電車が数多くラインナップされていたのに対し、このエクスプレスシリーズは、その名の通り特急列車 のみを揃えたシリーズであり、パート1からパート4まで販売された。通常版のBトレとは異なり、車体や下回りは組み立て済みとなっていた。しかし、 パート4発売以後は、よりクオリティの高い通常パートにおいても特急形車両がラインナップされるようになったためか、現在までエクスプレス シリーズの続編は登場していない。




写真10 エクスプレスシリーズの車両 (485系「しらさぎ」)



d. ジュニアシリーズ
 通常版のBトレの構造を簡略化し、車両も組み立て済みとして、小さな子供でも楽しめるようになっているシリーズで、新幹線の車両をラインナップ していた。4両セットで登場し、車両同士はマグネットで連結するようになっていた。現在のところ、当シリーズの製品は1回販売されたのみにとどまっ ている。




写真11 ジュニアシリーズ



e. 情景シリーズ
 Bトレの独特のサイズを活かして作られたミニジオラマで、その風景にマッチする車両も一緒にセットされていた。このシリーズは、以下の3種類の製品 が販売された。
 長門本山駅+クモハ42形
 浜川崎駅+101系南武支線(2両)
 電車区・洗浄線+クモヤ143形(2両)

f. 運転セット
 第2項でも述べたとおり、Bトレは、動力ユニットを組み込むことでNゲージの線路を走行させることができるが、動力化初心者でも簡単にBトレを走らせ られるよう、動力・コントローラ・線路・車両がセットになった運転セットが、過去に2種類販売された。
 第1弾は、通常の動力化と同様の方式の運転セットで、E231系山手線4両セット(ユーザー組み立て)が付属している。動力は、他の車両にも組み込むことが でき、台車レリーフも取り替えることが可能である。また、通常のNゲージの線路でも走らせることができるが、この場合は速度の調整が必要である。
 第2弾は、プラスチックのレールの上を、電池式の動力で走行する方式の運転セットで、N700系東海道・山陽新幹線4両セット(組み立て済み・動力組み込み 済み)が付属している。車両の操作は、赤外線リモコンによって行う。付属しているプラスチック製のレールは、KATO製のユニトラックと接続することが可能 で、ユニトラックの上を走らせることも可能である(一部のレールを除く)。なお、この付属のレールは、同等品が単品でも販売されていて、レイアウトを容易 に拡張することができる。この運転セットの発売以降、同様のシリーズが展開されていくことが期待されていたが、続編となる製品は販売中止となり、この シリーズについては現在まで新たな動きは展開されていない。




写真12 単品で販売されたレール



4.Bトレ動力化のススメ

 Bトレは、コレクションモデル、あるいはディスプレイモデルとしても十分に楽しむことのできる製品であるが、車両に動力を組み込み、Nゲージのレール で走らせることによって、魅力が一気に倍増する。動力化は、車両の所定の位置に動力ユニットをはめ込むだけで簡単に完了するため、台車のパーツを組み 立てることを考えれば、動力を組み込んだ方が楽に車両が完成する場合も多い。  現在Bトレの動力ユニットは、KATOとバンダイより販売されていて、どちらにもメリット・デメリットがあるため、自分の走らせたい車両によって動力 ユニットを使い分けるのが最も効果的である。

@それぞれの製品のメリット
KATO製…製品の質が非常に高く、車両を快適に走らせることができる。
バンダイ製…Bトレの台車レリーフを取り付けることができ、リアリティがある。

Aそれぞれの製品のデメリット
KATO製…台車形状の種類が限られるため、走らせたい車両に合う台車が見つけにくく、取り付けると違和感がある。また、動力車に載せるウェイトは 別に用意しなければならない。
バンダイ製…台車レリーフ取り付けの都合上、転がり抵抗の大きくなるような軸支持方式を採用しているため、動力車が4両中に1両は必要になる。また、 価格が比較的高価である。




写真13 Bトレを動力化し走らせた例 (我々が昨年度の習志野祭に出展したもの)



5.おわりに

 一口で「組み立て式の鉄道プラモデル」とは言っても、コレクション、ディスプレイ、改造、ディティールアップ、動力化など、楽しみ方は無限大の 可能性を秘めているBトレ。発売開始以降1,000種類を超えるラインナップが登場し、来年にはいよいよ発売開始10周年を迎える。Bトレの今後の製品展開 からも目が離せない。



参考文献

◎Bトレインショーティー オフィシャルサイト
 http://bandai-hobby.net/train/index.html

◎Bトレインショーティー ファンのページ
 http://homepage3.nifty.com/B-train

◎Joshin web 試用レポート Bトレインショーティー E231系山手線運転セット
 http://joshinweb.jp/hobby/bte231.html (前半)
 http://joshinweb.jp/hobby/bte231_2.html (後半)

◎ネコ・パブリッシング Bトレインショーティーのすべて4

◎ネコ・パブリッシング Bトレインショーティーのすべて5


 
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