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〜 上野口最後の寝台特急 〜

社会交通工学科2年 0129番 堀 治



1.はじめに

 上野駅には、多数の寝台列車が存在していたが新幹線の開通などにより、徐々に勢力を失っていった。今回、上野口の寝台列車として 唯一残っている「あけぼの」「北斗星」「カシオペア」の3列車について紹介する。



2.あけぼの




写真1 現在のあけぼの 西川口駅



 あけぼのは、1970年に誕生した寝台特急である。当初は上野〜秋田間の臨時寝台特急として走ったが、後に秋田〜青森が延長され定期 列車に格上げされた。「あけぼの」は、1時期3往復が設定されたことがあったが、後述の「北斗星」運転開始の際に使用車両を転用した ため、わずか6年で終わった。
 1990年、山形新幹線開通のための工事で2往復のうち1往復を陸羽東線・奥羽本線経由とし、もう1往復は上越・信越・羽越線経由となり 列車名も「鳥海」なった。この体制は平成9年までで、この時に秋田新幹線が開通することになったため、「あけぼの」は廃止されること になった。しかし、「あけぼの」の愛称は人気が高く、上越・信越・羽越線経由になり「鳥海」に改名された列車を「あけぼの」に変更し 現在に至っている。
 「あけぼの」を牽引した車両も様々である。直流区間(上野〜黒磯間)はEF65、交流区間(黒磯以北)はED75、山岳地帯の区間はEF71・ ED78の重連、また運転開始当時は非電化だった山形〜青森はDD51が牽引したこともあった。山形新幹線が開通し陸羽東線をう回運転するよう になってからは、小牛田までEF81がスルーで牽引し、非電化である陸羽東線内はDE10が重連で牽引した。
 秋田新幹線が開通し上越・信越・羽越線経由になってからは、全区間EF81が牽引することになったが、急勾配がつづく上越線内では頻繁に 空転や故障が発生した。そのため、2009年以降、上野〜長岡間は、EF64が牽引することになった。当初は、牽引車の車輌不足を補うため高崎 車の2両の0番台が起用されたこともあったが、「北陸」が廃止され車両に余裕が出たため現在では1000番台のみが牽引している。




写真2 全区間EF81牽引時 大宮駅




写真3 EF64-0番台牽引は約1年の短命に終わった 大宮駅



3.北斗星・カシオペア




写真4 EF510-500番台牽引の現在の北斗星 大宮駅



 「北斗星」は、青函トンネルが開通した1988年に運用を開始した、上野〜札幌を結ぶ列車である。現在、JR定期列車では「トワイライト エクスプレス」に次いで最長距離を走る。登場時は定期2往復、季節便1往復が設定されていたが、1989年に定期3往復化された。しかし、 開業ブームが去った1994年に再び季節便に格下げされた。「北斗星」は、グレードアップにも力が注がれているため、1往復は全室の「オール 個室化」を達成している。
 そして1999年には、「カシオペア」が登場した。「カシオペア」は「北斗星」をグレードアップした形で登場したもので、新製された客車も 従来とは全くイメージが異なっている。車両も1編成しか存在しないため隔日運転されており、そのため臨時列車扱いされている。この「カシオ ペア」の登場により季節便の「北斗星」が更に臨時へ格下げされた。2008年には、北海道新幹線の工事の時間帯を確保するため、2往復あった 北斗星を1往復に減便した。また、これにより1・2号で使われたJR北海道の客車と3・4号で使われたJR東日本の客車が混成することになり、 現在1〜6号車はJR北海道、7〜11号車と電源車はJR東日本の客車を使用している。




写真5 EF510-500番台は、15両中2両がこのカシオペア塗装 西川口駅



 牽引機は、上野〜青森間をEF510-500番台、青森〜函館間をED79、函館〜札幌間をDD51が担当している。2010年7月までは、EF81が上野〜青森間を 担当していたが、車輌の老朽化によりEF510に置き換えられた。EF510は、EF81と同様、北斗星塗装機とカシオペア塗装機の2種類があるが、EF81の 時代と違い「北斗星」と「カシオペア」両列車を共通運用している。そのため、カシオペア塗装機が「北斗星」を、北斗星塗装機が「カシオペア」を 牽引するところが頻繁に見られる。




写真6 EF81牽引時 東大宮〜蓮田




写真7 EF81牽引時 西川口駅



参考文献

・鉄道ファン2001年3月号 (交友社)

・鉄道ファン2005年4月号 (交友社)

・寝台特急あけぼの http://akebono.nandemo5151.com/



 
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