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〜 房総のJR6路線の運行に関する豆知識 〜

社会交通工学科3年 8015番 石垣 昌樹

1.はじめに

 房総の鉄道は、JR千葉駅から総武本線、成田線、内房線、外房線の4路線に広がり、途中駅にて東金線、久留里線に分かれる。今回は千葉駅に直通する総武本線、成田線、内房線、外房線の4路線と、東金線、鹿島線について紹介していく(ただし、成田線でも我孫子支線は常磐線に直通するため車両も異なるため除かせてもらう)。この記事を読んで房総の運行について知ってもらえば、次回房総に訪れる際に、楽しめるかもしれない。



2.房総路線図(千葉支社のホームページ参照)





3.房総6路線の乗車人員ランキング(2009年度)


順位駅名人数乗入路線
1千葉106,434総武・房総JR線
京成線
千葉都市モノレール線
2蘇我30,945京葉線
内房線
外房線
3四街道21,937総武本線
成田線(本線)
4都賀20,142総武本線
成田線(本線)
千葉都市モノレール線
5五井19,259内房線
小湊鉄道線
6鎌取18,634外房線
7成田15,093成田線(本線、空港支線、我孫子支線)
8木更津13,866内房線
久留里線
9土気13,861外房線
10八幡宿12,599内房線
11茂原11,828外房線
12大網11,004外房線
東金線
13姉ヶ崎10,943外房線
東金線
14佐倉10,736総武本線
成田線(本線)


※2009年度1日平均1万人以上を対象。JR東日本旅客鉄道株式会社HP参照
※総武本線、成田線、内房線、外房線、東金線、鹿島線を対象




4.房総の運行に関する豆知識 (2010年3月ダイヤ改正時)

 ◎内房線(房総カラー:)

  ○普通列車でも10両編成での運行がされている!湘南色10両での運行も!
    姉ヶ崎駅・木更津駅・君津駅・館山駅・千倉駅まで、113系と209系の共通運用で10
   両編成での運行されている。また、211系3000番台でも10両編成での運行が木更津
   駅と君津駅までの区間運行でそれぞれ1往復、計2往復ある。それぞれ夜間に木更
   津駅と館山駅の留置線で留置される。

  ○早朝限定!保田駅始発の普通列車!
    平日の早朝に1本だけ館山駅から保田駅まで回送列車が運行され、保田駅始発の
   安房鴨川駅行きが4両編成で運行される。休日は館山始発となる。

  ○誤った!?113系字幕の行き先表示!
    館山駅始発の安房鴨川駅行きが113系で運行されると、字幕の行き先の下に経由
   するはずのない「木更津経由」と表示される。これは、千葉駅始発の安房鴨川駅行き
   の列車が内房線か外房線を区別するため、内房線経由では「木更津経由」、外房線
   経由では「勝浦経由」と表示されるためであると思われる。

  ○特急車両にタダで乗って東京湾を眺めよう!
    E257系500番台が上り列車に限って、館山駅から君津駅まで普通列車で運行される
   ため、乗車券・定期券のみで特急車両に乗車できる。君津駅からは特急さざなみ号と
   して運行がされる。

  ○深夜限定!千葉駅にやってくる京葉線車両!
    深夜の千葉駅に毎日、京葉車両センターの車両が間合い運行で1往復だけ君津駅
   から千葉駅まで普通列車として運行される。車両は205系、209系500番台、E233系
   5000番台のいずれかである。



<写真1 京葉線車両205系 千葉駅にて>



 ◎外房線(房総カラー:)

  ○普通列車でも10両編成での運行がされている!湘南色10両での運行も!
    普通列車でも茂原駅・上総一ノ宮駅まで113系と209系の共通運用で10両編成での
   運行がされている。また、211系3000番台でも10両編成での運行が上総一ノ宮駅まで
   の区間運行1往復が早朝にある。ただし、どちらも夜間では内房線で留置されるた
   め、外房線の留置は快速などを除きすべて8両以下である。

  ○早朝限定!安房小湊駅始発の普通列車!
    早朝では1本だけ安房鴨川駅から安房小湊駅まで回送列車が運行され、安房小湊
   駅始発の安房鴨川駅行きが8両編成で運行される。

  ○普通列車が途中の上総一ノ宮駅にて分割・連結作業を実施!
    夜に千葉駅始発の大原駅行き8両編成が1本だけ上総一ノ宮駅にて分割作業を行
   う。また、朝には、勝浦からの6両編成が上総一ノ宮駅にて4両編成車両と連結作業
   が行われ、10両編成として千葉駅に向かい、回送列車となる。

  ○特急車両にタダで乗って太平洋の海を眺めよう!
    255系、E257系500番台が勝浦駅から安房鴨川駅まで一部の上下線で普通列車と
   して運行されるため、乗車券・定期券のみで特急車両に乗車できる。その他の区間で
   は特急わかしお号として運行がされる。ちなみに、255系が普通列車として運行される
   のは、この路線の1往復のみである。

  ○京葉線車両が勝浦駅まで運行されている!
    夕方に京葉車両センター201系10両編成が直通して誉田駅にて分割作業が行われ
   る。その後、201系4両編成車両は東金線成東駅へ、201系6両編成車両は上総一ノ
   宮駅まで快速運行、勝浦駅までは普通列車として運行される。翌日には201系6両編
   成車両は勝浦駅から上総一ノ宮駅まで普通列車として運行され、20分停車したのち、
   快速運行にて誉田駅まで運行され、東金線成東駅からの201系4両編成車両と誉田
   駅にて連結作業が行われる。その後、10両編成にて平日は通勤快速、休日は快速と
   して京葉線へと向かう。E233系5000番台の分割対応編成車両の営業運転が開始さ
   れるまでは毎日この車両のみでの運行となる。






<写真2 京葉線車両201系・E233系5000番台 蘇我駅にて>



 ◎東金線(房総カラー:)

  ○短い路線であるが車両の系統は多様な路線!
    普通列車では、209系4・6両編成車両、211系3000番台の5両編成車両の他に、ダ
   イヤ改正で運用が激減した113系4両編成車両が1往復と、京葉車両センターから
   201系4両編成車両が直通してきて、間合い運行がされている。

  ○特急車両の運行はなし!ただし、臨時のお座敷列車が見られる!
    房総6路線の中では、定期運用で唯一、特急車両が直通しない。ただし、ここ数年
   は臨時で年末に総武線の両国駅の臨時ホームから「お座敷列車東金号」として485系
   ニューなのはながこの路線まで運行されている。

  ○京葉線車両も間合い運行がされている!下り最終列車東金駅行きも!
    夕方に京葉車両センター201系10両編成が外房線の誉田駅まで直通して分割した
   のち、201系4両編成車両が東金線成東駅へ、201系6両編成車両は外房線の勝浦
   駅まで運行される。成東駅に到着後は、大網駅行き列車として間合い運行に使用さ
   れ、下り最終列車東金駅行きでも運行されている。したがって、東金駅行きの字幕表
   示も入っている。東金駅までの運行を終えた後、大網駅まで回送され、翌日に、成東
   駅行きとして使用されたのち、外房線の誉田駅まで直通して、外房線の勝浦駅からの
   201系6両編成車両と連結されたのち、10両編成にて京葉線へと向かう。E233系5000
   番台の分割対応編成車両の営業運転が開始されるまでは毎日この車両のみでの運
   行となる。

 


<写真3 京葉線車両201系 成東駅にて>



 ◎総武本線(房総カラー:)

  ○姿を消した6両編成車両!もうすぐ復活か?
    普通列車で6両編成での定期運行がすべて211系3000番台5両編成などに置き換
   わり、普通列車の10両編成運行もないので、6編成車両の定期運行は見られない。
   ただし、車両故障による代走での運行が数回確認されている。また、211系5両編成
   車両も209系の置き換え対象になっているので、6両編成車両での運行が復活する可
   能性が高い。

  ○最終列車限定!横芝駅行きの普通列車!翌朝は横芝駅始発
    以前は最終列車が千葉駅始発の成東駅止まりで、横芝まで回送され翌朝に横芝駅
   始発の列車として運行されていた211系5両編成であったが、2010年3月ダイヤ改正
   によって最終列車が横芝駅まで延長されるようになった。これにより、横芝駅行きの
   字幕表示が見られる唯一の運行となった。この車両は、翌朝の横芝駅始発の千葉駅
   行きとなる。

  ○夜に限定の旭駅行き、朝に限定の旭駅始発の普通列車!
    夜に、上り列車で銚子駅始発の旭行きがあり、211系5両編成で運行される。旭駅
   行きの字幕表示が見られる唯一の運行である。この車両は、翌日の下り列車で旭駅
   始発の銚子駅行き列車として運行される。211系5両編成車両導入前では、113系車
   両での運行であったため、113系車両には旭駅の字幕表示が入っている。

  ○特急車両にタダで乗ろう!
    E257系500番台が成東駅から銚子駅まで上下線の1往復のみ普通列車として運行
   されるため、乗車券・定期券のみで特急車両に乗車できる。ただし、その他の区間で
   は特急しおさい号として運行される。

  ○快速・特急列車が途中の佐倉駅にて分割・連結作業を実施!
   快速・特急列車の一部が成田線と分離する佐倉駅で分割・連結して運行される。快速
   列車は、佐倉駅まで15両編成での運行となり、成東駅までは最大でも11両編成であ
   る。ただし、11両編成運行が佐倉駅と成東駅の区間で見られるのは、成東駅まで回
   送された早朝の成東駅始発の上りの快速列車のみであり、この運用は佐倉駅にて4
   両編成と連結する。特急列車は佐倉駅でのそれぞれ5両編成へと分割後、しおさい
   号は成東駅まで、あやめ号は佐原駅まで運行され、佐原駅から銚子駅までは普通列
   車で運行される。



<写真4 房総車両113系 千葉駅にて>



 ◎成田線(本線と空港支線) (房総カラー:)

  ○姿を消した6両編成車両!もうすぐ復活か?
    普通列車で6両編成での定期運行がすべて211系3000番台5両編成などに置き換
   わり、普通列車の10両編成運行もないので、6編成車両の定期運行は見られない。
   ただし、車両故障による代走での運行が数回確認されている。また、211系5両編成
   車両も209系の置き換え対象になっているので、6両編成車両での運行が復活する可
   能性が高い。

  ○あらゆる成田線が集合する成田駅!
    成田駅の乗り換え路線はすべて成田線である(本線の上下線と空港支線と我孫子
   支線)。乗り換えなどの際には注意が必要である。

  ○快速・特急列車が途中の佐倉駅にて分割・連結作業を実施!
    快速・特急列車の一部が成田線と分離する佐倉駅で分割・連結して運行される。快
   速列車は、総武本線との分割と、空港方面と鹿島線方面との分割などがある。特急
   列車は、佐倉駅でのそれぞれ5両編成車両へと分割後、しおさい号は成東駅まで、あ
   やめ号は佐原駅まで運行され、佐原駅から銚子駅までは普通列車で運行される。

  ○特急車両にタダで乗ろう!
    E257系500番台が佐原駅から銚子駅まで上下線の1往復のみ普通列車として運行
   されるため、乗車券・定期券のみで特急車両に乗車できる。ただし、その他の区間で
   は特急あやめ号として運行される。

  ○普通エアポート成田113系8両編成!
    空港支線では成田エクスプレスの特急列車の運行が一番多く、快速列車がその次
   に多い。ただし、朝に1往復だけ113系8両編成運行があり、成田空港駅の字幕表示
   で運行されている。下り列車は佐倉駅にて特急列車の通過待ち、上り列車は空港第
   2ビル駅と成田駅の区間の信号所で快速エアポート成田との交換待ちが行われるた
   め、所要時間はそれなりにかかるので注意した方がよい。



<写真5 房総車両113系 成田空港駅にて>



 ◎鹿島線(房総カラー:)

  ○ほとんどが高架路線の唯一の千葉支社管轄の茨城県をまたぐ路線!
    すべて普通列車で、113系4両編成車両と、下り1本のみ横須賀線・総武快速線から
   の直通列車E217系4両編成車両と、総武線からの直通列車E257系500番台5両編
   成車両が2往復のみ運行されている。211系3000番台5両編成車両も代走で運行され
   たことがある。209系4両編成車両は鹿島サッカースタジアムへの臨時列車や試運転
   での運行のみで運行されており、2010年度から定期運行として運行予定である。

  ○特急車両にタダで乗って高架から見られる車窓を眺めよう!
    E257系500番台が佐原駅から鹿島神宮駅まで上下線の1往復のみ普通列車として
   運行されるため、乗車券・定期券のみで特急車両に乗車できる。ただし、その他の区
   間では特急あやめ号として運行される。また、早朝に間合いで1往復のみ普通列車の
   線内運行もされており、もちろん乗車券・定期券のみで特急車両に乗車できる。

  ○房総での「普通」は珍しい!
    線内運行(佐原駅と鹿島神宮の区間)では113系の前面の行き先表示が「普通」と表
   示されていることがある。以前は東金線での線内運行でも確認できたものの、現在で
   は線内運行が消滅してしまったため、この路線でしか見られない貴重な表示である。
   ただし、成田駅や千葉駅始発の列車では「鹿島神宮」である。また、千葉駅から113系
   8両編成の鹿島神宮行きが1本だけ運行されているが、途中駅にて4両編成に分割さ
   れるので、注意が必要である。



<写真6 房総車両113系「普通」 佐原駅にて>




5.終わりに


 現在、成田エクスプレスが253系からE257系に置き換わったように、房総の普通列車113系・211系3000番台はすべて209系2000番台に、京葉線201系・205系・209系500番台はすべてE233系5000番台に置き換わっている。また、総武線E217系や久留里線車両も正式な報道などはないものの、近い将来に車両の置き換えが始まってもおかしくない状態である。

 このため、房総113系は横須賀色のうち4両編成車両と6両編成車両がそれぞれ1本ずつ湘南色に塗り替えられ、湘南色と横須賀色の連結運用などが見られたり、久留里線キハ30形もすべて国鉄色に塗り替えているほか、置き換え対象車両を中心とした臨時列車も増えてきており、千葉県の国鉄車両の最後を告げるかのような運行までされている。

 房総に来たことがない人も、そうでない人も残り少ない車両の置き換え期間に1回でも訪れていただけると良い思い出が創れるかもしれない。その際、詳しい房総の運行車両と時間を知りたい場合には、幕張車両センター総合情報サイト「マリレポ」を参照してほしい。このサイトには、車両の詳しい運用や臨時列車の運行を知ることができると思う。

 最後に、今年も房総ネタ満載になってしまったことをお詫びしたい。




<写真7 房総車両113系 湘南色と横須賀色 千葉駅にて>



参考文献

・JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社
http://www.jreast.co.jp/

・JR東日本旅客鉄道株式会社 千葉支社
http://www.jrchiba.jp/


 
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