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3.3 第2魚津トンネル

 新黒部駅よりさらに約7kmほど進むと、第2魚津トンネルがある。全長は3097mで、入口(高崎方)からしばらく直線が続いた後、半径4000mの曲線区間に入って出口(金沢方)に至る線形である。
 掘削工法には上下半交互併進ショートベンチ工法と呼ばれる工法を採用し、地盤が崩れないように上半分・下半分に分けて1mずつ慎重に行われる。掘削は金沢方より行われ、1日で約3m、1ヵ月で約60mのペースで行い、現在までに約1700mの掘削を終えている。
 現在掘削している場所は第3紀鮮新世の室田累層と呼ばれる地層で、砂岩、泥岩、シルト岩、凝灰岩、礫岩などが主で、海水面の上下や火山灰の堆積などさまざまな地学的要因によって形成されている。さらに掘り進めると地質が変わり、河川が運んできた土砂の堆積による地層になる。年代は第4紀更新世で、呉羽山礫層、東福寺礫層など砂や礫、粘土を主とした地層を形成している。扇状地の真下を掘るため工事はやや慎重に行う必要がある。



写真8  2006.9.21 新黒部



写真9  2006.9.21 新黒部



写真10  2006.9.21 新黒部



写真11  2006.9.21 新黒部



写真12  2006.9.21 新黒部



写真13  2006.9.21 新黒部



写真14  2006.9.21 新黒部



 写真8は作業坑の坑口(注4)で、トンネル工事作業用の車両等はここから入る。ここから本坑に合流するまでは86mある。写真9〜写真13に本坑の様子を示す。本坑の掘削では、まず上半分・下半分に分けて掘削した後コンクリートを壁面に吹き付け、ロックボルトをトンネル壁面から放射状に打ちつける。さらに床面にはインバートコンクリート敷き、壁面には防水シートを張る。写真9・10は本坑掘削の先端部の様子で、まだ上半分しか掘削されていないのがわかる。先端部から金沢方を見た様子を写真11に示す。写真12はインバート桟橋と呼ばれ、インバートコンクリートの工事が済んでいない場所から工事車両が通過できるようにしてある。写真13は防水シートを張る作業まで済んだ状態である。天井中央部にある丸い管はトンネル工事の排気設備で、直径1700mのチューブでトンネル内の空気を排気している。さらに工事が進むと写真14のように壁面のコンクリートの仕上げが行われる。

(注4)坑口
 進行方向から考えた場合、入る側を入口、出る側を出口と呼ぶのが一般的であるが、トンネルは正確には入口、出口という呼称はせず、どちらも坑口という。ただし起点に近い側から入口、出口と呼ぶ場合もある。このトンネルの場合、高崎方が入口、金沢方が出口となる。




 
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