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【第七章】日本での動き

 欧米で普及するようになったLRTですが、日本ではまだ大きな動きはありません。それでも、1997年には熊本に日本初の低床電車が登場し、98年には広島、2000年には岐阜でも導入され、ようやくバリアフリー化への動きが見られるようになりました。現在も少しずつ全国に普及しています。しかし、システムとしてのLRTはまだ見られません。車両を低床車に変えただけではシステムの構築はできません。近年、トランジットモールの導入実験が各地で行われていますが、本格導入はまだまだ先になりそうです。しかし、着実にLRTへ近づいているのは間違いありません。日本の各地でLRTの導入、路線の延長、低床電車の導入が計画され、大半は構想段階ですが、具体的な動きが見られるところもあります。
 LRTの建設には自動車利用者の理解が必要です。線路を敷くと車線が減り、渋滞がひどくなるのではという意見もあります。しかし、LRTが開通して自動車利用がLRT利用へと移れば交通量が減って渋滞は少なくなるのです。これは世界中のLRTによって立証されています。LRTが開通した都市では交通量が減り、自動車公害も少なくなって町に活気が戻り、それによって都市が活性化するのです。ただし、それには自動車利用をLRT利用に切り替えるための政策が必要です。たとえば外国では、都心部の駐車場の数を減らし、代わりにLRTの停留所に駐車場を設けています。さらに、駐車料金は都心部に行くにしたがって高くなり、一方通行など交通規制をかけています。つまり、自動車で都心へ入ろうとすると駐車場探しが大変な上に料金が高く、おまけにまっすぐ目的地へ向かえないのです。これによって、効率よくLRTへ移行させられるのです。



↑広島電鉄が導入した低床電車「グリーンムーバー」


コラム:これまで大きな動きの無かった日本の路面電車だが、富山ではLRTの導入に向けて具体的な動きがある。富山駅から北へ伸びるJR富山港線をLRT化するというものだ。駅の数を増やし、低床電車を導入し、富山駅付近は道路上に新設した軌道を走行するというものだ。将来は北陸新幹線開通に伴う富山駅高架化にあわせて改札口を抜けるように路線を南に伸ばし、現在ある市内線と直通させる予定である。新規の建設ではないが、在来路線のLRT化の一例として特筆される。

 
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