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〜 夏合宿 〜

社会交通工学科4年 7094番 長谷川 浩


写真−1 一畑電鉄



1. 概要

 今回の夏合宿の目的地は、山陰(鳥取・米子・出雲)となった。一番の目的は、今年の
5月に公開された映画「Railways」の舞台となった一畑電鉄に乗りに行くということになり、
一畑電鉄や出雲大社をメインに、夏合宿の行程が組まれた。

 合宿の日程は、以下のとおりである。

  合宿1日目(9月5日):[午後]鳥取集合,鳥取砂丘を見学した後、各自で米子へ
  合宿2日目(9月6日):[午前]自由行動
                [午後]一畑電鉄乗車,出雲大社・宍道湖などを観光,打ち上げ
  合宿3日目(9月7日):[午前]境港にて観光・解散




2. 合宿2〜3日前(9/2〜9/3,木〜金)

 合宿前、私は4年生ということもあり、非常に忙しく、夏合宿に参加できない可能性もあった。前期 授業が終わったとは言え、テスト、オープンキャンパスの準備、卒業研究、就職活動、その他諸々・・・・ で、大学には毎日通い、終電帰りや研究室に泊まる日々が続いた。
 しかし、夏合宿にはどうしても参加したかった。山陰には、芸備線・因美線・三江線・福塩線・木次 線など、1日に数本しか運転されていない、云わば“廃止寸前のやる気のないJR路線”が多く存在し、 各駅停車での乗り潰しもまだ手つかずのエリアだったからである。そのため、何とか前日までに超ハード スケジュールをこなし、夏合宿を今年度唯一の夏休みとした。

また、合宿の3日間では、山陰の鉄道路線の乗り潰しはほとんど不可能である。何せ本数が少なく、行程を 組むのが非常に難解な路線ばかりである。そこで、合宿集合日の3日前の夜に東京を出発することにした。

今回使用する切符は、何の迷いもなく「青春18きっぷ」に決めた。格安である点や、今夏で発売が終了する 可能性があったからである。



(1)東京→上郡
 東京23:10発、臨時快速「ムーンライトながら」号に乗車。部員のO氏は、九州旅行に行ってから合宿に合流 するということで、途中の相生まで同行した。

 私が「ムーンライトながら」に乗ると、毎回必ず起きることがある。それは、列車の運転に支障を来たす 事故が起きることである。何か私がやらかしているわけではないが、何故か毎回遭遇するのである。 (事故を呼ぶ男なのか・・・!?)
 案の定、今回も事故が起きた。大船〜藤沢間での踏切事故があり、浜松までは20分程度の遅れで生じていたが、 浜松〜名古屋間は途中駅で長時間停車するため、翌朝、大垣には定時に到着した。


写真−2 臨時夜行快速列車「ムーンライトながら」号


 そして、大垣,米原,姫路,相生と、“乗換ダッシュの名所”で電車を乗り継ぎ、上郡まで辿り着いた。



(2)上郡→智頭
 上郡から、智頭急行に乗り換える。以前に、特急「スーパーいなば」号で乗ったことはあったが、普通列車で 乗るのは初めてであった。
             
写真−3 智頭急行の上郡駅舎(乗換え用)      写真−4 智頭急行の普通列車




(3)智頭→津山
 智頭で分待ちし、乗車困難な路線の1つである、JR因美線に乗車した。乗ってみて分かったことは、非常に 走行環境が良くないということである。急カーブや急勾配が多く、速度制限15km以下の区間が連続していた。



(4)津山→佐用→播磨新宮→姫路
 津山からは、姫新線に乗り換える。津山〜姫路は同じ姫新線の路線にも関わらず、区間によって列車本数が 極端に違うので、この路線も全区間乗り通すのが難しい。
 姫新線は、単線の簡単な駅ばかりで、同じ景色が永遠と続き、さほど面白い路線ではなかった。

    
写真−5             写真−6             写真−7
  姫新線(津山→佐用)    姫新線(佐用→播磨新宮)   姫新線(播磨新宮→姫路)




(5)姫路→岡山→広島
 姫路から、2度目の山陽本線に乗車。相生での乗換ダッシュも2回目だ。ちょうど帰宅時間と重なって しまったため、4両編成の車内は非常に混雑していた。
 辛抱して4時間ほど普通列車に乗車し、その日は広島に宿泊した。




3.合宿前日(9/4,土)

(1)広島→(三次経由)→府中→神辺→清音→倉敷
 早朝5時に起床、芸備線初電の「備後庄原・府中」行きに乗車した。途中の三次で、芸備線の備後庄原まで 行く車両と、塩町から福塩線に入る府中行きに分割された。私は、そのまま府中行きの車両に乗車し、府中で 福山経由の岡山行きに乗り換えた。神辺で井原鉄道に乗り換え、終点の清音を経て、倉敷に到着した。


写真−8 福塩線(福山〜府中)



写真−9 井原鉄道




(2)倉敷→新見→備後落合
 倉敷で折返し、再びJR伯備線で新見へ向かった。
 新見からは、1日3本しかない、芸備線の備後落合行きに乗車。18きっぷシーズンということもあり、 通常では考えられない混雑ぶりであった。ほとんどの客が、終点の備後落合まで乗車した。
 備後落合では、芸備線 三次行き・芸備線 新見行き・木次線 出雲横田(宍道)行きが、全て顔を揃えた。

写真−10 芸備線同士 備後落合にて




(3)備後落合→出雲横田→宍道→米子→鳥取
 さて、私はというと、木次線に乗車した。前々から一度乗ってみたかった路線の1つであった。今は 「おろち号」というトロッコ列車も走っており、今度来た時は乗ってみたいと思う。
 沿線は国道314号線の「奥出雲おろちループ」、出雲坂根駅でのスイッチバック、個性ある駅舎など、 景色が素晴らしかった。


写真−11 奥出雲おろちループ


 そして終点の出雲横田に到着。乗車した列車は、そのまま宍道行きとなった。
 外は急に大雨が降りだし、出雲横田を出て数分走ったところで雨量が安全値を超え、その場で運転見合わせ となった。非常ブレーキがかかったと同時に、運転席から

 「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ・・・(電車が止まるまでリピート)

と、指令所からの大きな声が聞こえた。


 「いゃいゃ、もうブレーキかけてるから・・・(汗)」

 「電車は急に止まれない」



 その場で20分程度止まった後、運転を再開した。木次線は、大雨でよく運転見合わせになり、バスによる 代行輸送といったことも、しょっちゅうあるらしい。今回は、遅れで済んだということで、運が良かったと 言える・・・。

 宍道からは山陰本線に乗車し、米子で乗り換え、その日は鳥取で一泊した。





4.合宿1日目(9/5,日)

(1)鳥取⇔浜坂
 鳥取からは、未乗車区間の浜坂まで往復乗車した。浜坂では豊岡からの列車が接続しており、OBのN氏と 合流した。



(2)鳥取→(バス)→若桜→(若桜鉄道)→郡家→智頭(折返し)→鳥取
 再び鳥取に戻り、次に若桜鉄道に乗車。しかし、次の列車まで2時間ほど待たなくてはならなかったため、 バスで若桜駅まで先回りし、若桜から乗ることにした。


写真−12 若桜鉄道 郡家にて


 郡家で下車し、JR因美線に乗車。一旦、智頭まで戻ってから鳥取に向かい、いよいよ合宿スタートである。 智頭では、後輩部員数人と合流した。


写真−13 JR因美線(車両は智頭急行) 智頭にて




(3)鳥取→鳥取砂丘→米子
 部員が全員揃った所で、合宿最初の目的地、鳥取砂丘へバスで向かった。
 鳥取砂丘に関して言えば、(このようなことを書くのは非常に恐縮だが)ヨーロッパの砂丘に慣れていた 私は、ちっぽけな砂丘に感じた・・・。


写真−14 鳥取砂丘をバックに記念撮影






5.合宿2日目(9/6,月)

(1)米子→出雲大社
 2日目の午前中は、自由行動であった。そのため、私は少々の乗り潰しをしてから松江へ向かった。
 JR松江駅から、一畑電鉄の松江しんじ湖温泉駅までバスで移動した後、一畑電鉄に乗車した。元京王の 車両が、未だ現役で頑張って走っていた。
 そして、そのまま出雲大社へ向かった。出雲大社は“縁結びの神様”が祭られていることで有名だが、 果たして、当サークルで縁が結ばれる部員はいるのか・・・??www


写真−15 出雲大社(入口)




(2)出雲大社→松江(宍道湖)→米子
 出雲大社前駅から、再び一畑電鉄に乗り、出雲市経由で松江へ向かった。
 松江では、宍道湖の夕日を見るために遊覧船に乗った。今回は、予め団体予約をしておいたため、 当サークルのために、わざわざ臨時貸切便を出していただいた。改めて、この場を借りてお礼を申し上げる。

 さて、肝心な夕日はというと・・・、

 残念ながら空が曇っており、夕日を見ることはできなかった。しかし、水平線に浮かぶ霧(?)のような モヤモヤが非常に綺麗であった。


写真−16 宍道湖


 さて、その後は米子へ戻り、駅近くの居酒屋にて打ち上げを行ない、合宿2日目も、めでたしめでたしと 締めるはずだったが・・・、

 その日の夜、事件は起きた・・・。(⇒10大ニュースの第2位を参照)




6.合宿3日目(9/8,水)

(1)鳥取→境港  合宿最終日の朝は、境港へ向かい、現地解散となった。 境港は「ゲゲゲの鬼太郎」の原作者、水木しげるの 故郷であり、街中は「ゲゲゲの鬼太郎」で染まっていた。米子からJR境線に乗車したが、車両も 「ゲゲゲの鬼太郎」の塗装・イラストとなっていた。

      
写真−17 猫娘列車            写真−18 鬼太郎列車




(2)境港→米子→生山→新見  さて、私は帰りの普通列車の都合もあったので、OBのN氏と1時間ほど境港を観光した後、すぐに米子へ 引き返した。
 米子から、今回が初乗車となる特急「やくも」号に乗車した。車両は、車内がリニューアルされた 「ゆったりやくも」の381系で、非常に乗り心地が良かった。
 しかし、私の今回の切符は18きっぷのため、最短区間の米子→生山のみ乗車した。


写真−19 特急「やくも」


 生山からは、再び普通列車である。JR伯備線から、山陽本線を経由して赤穂線まで直通する播州赤穂行きに 乗車し、新見で降りた。



(3)新見→津山→岡山
 新見から、JR姫新線に乗車した。合宿2日前に津山〜姫路間は乗車したので、今回で姫新線は完乗となった。 やはり、こちらの区間についても、姫新線は面白みのない路線であった。
 津山からは、JR津山線に乗車して、岡山へ向かった。



(4)岡山→倉敷→三菱自工前→倉敷
 岡山から、また少しだけ西に向かい、今回再びの倉敷へ向かった。JRに隣接する倉敷市駅より、 水島臨海鉄道で終点の三菱自工前まで乗車した。
 終点の三菱自工前は、駅名のとおり、三菱の自動車工場らしきものがあるだけであった。JR鶴見線と 似たような雰囲気で、工場で何かを燃やしている煙い臭いがした。
 乗ってきた電車で、再び倉敷へ戻る。途中の駅で車掌が、ホームと車両の間に帽子を落とすという ハプニングもあった(笑)


写真−20 水島臨海鉄道 三菱自工前にて




(5)倉敷→岡山→姫路→大阪→東京
 倉敷から、ようやく東京へ帰宅である。まずは、山陽本線と東海道本線の在来線を乗り継ぎ、大阪へ向かった。
 大阪から、JR高速バスの夜行便に乗った。今回は、JRバスグループでは最高ランクの「プレミアムドリーム」号の 1階席に乗車。プレミアムドリーム号は、1階席と2階席で、サービス内容や料金が異なっている。1階席は、各席に 小型テレビ・ちょっとした個室空間になるカーテン・おしぼり・スリッパなどがついており、座席の リクライニングは、ほぼ水平になるまで倒すことが可能となっている。これでも、学割を使用して\8000円少々 である。新幹線より安く、各種アメニティーが付き、ぐっすり眠れるので、断然お得である。

 大阪駅桜橋口22:30に発車。私は疲れていて、バスが高速道路に入ってすぐに眠ってしまった。

 翌朝、東京駅日本橋口には定刻より30分早く、6時ちょうどに到着した。正直、もう少し 「プレミアムドリーム」号を堪能したかった。是非、またいつか乗ってみたいと思った。


写真−21 プレミアムドリーム号 東京駅日本橋口にて


 なお、その日は日本海側から台風が上陸しており、合宿解散後に1泊してから普通列車で帰ってきた人は、 岐阜〜静岡にかけて何度も運転見合わせになり、帰宅までにだいぶ苦労したようである・・・。



7.まとめ

 今年の夏合宿は、まず、計画を立てる時点で一悶着した。部員の人数が年々増えたことや、特急に乗りたい人、 青春18きっぷで安く済ませたい人・・・など、部員一人一人に要望があり、それらを全て受け入れることは、 もちろん不可能であった。しかし、少しでも多くの人が納得の行くようにしたつもりである。
 そして、合宿前日まで、ドタキャンや体調不良の人が続出したが、無事に夏合宿を終えられ、部員同士の仲も より深まったのではないかと思う。



8.最後に

 なんだかんだで、この会誌「EXPRESS」の夏合宿報告の記事を、4年連続で、私、長谷川が書くことになった。 3年前から部員が急激に増え、合宿の内容も濃くなった一方、ハプニングやトラブルも年々増えているように 思う(笑)
 最後までお読みいただき、また下手くそな私の記事を4年間読んでいただいた方、ありがとうございました。 当然ですが、来年からは、夏合宿報告の記事を書く担当が替わります。来年以降も、引き続き読んで頂ければ 幸いです。



 
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